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『星間ブリッジ』 第1巻 きゅっきゅぽん 【日刊マンガガイド】

2016/09/12


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『星間ブリッジ』


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『星間ブリッジ』 第1巻
きゅっきゅぽん 小学館 ¥552+税
(2016年8月12日発売)


1936(昭和11)年――父の転勤により、日本人の少女・ハルの一家は上海に引っこしてきた。
それは日中戦争が始まる前年の、七夕の日のことだった。
大きな船、たくさんのビル、そして初めて見る中国の街の雰囲気や人々の横顔に、ハルはただただ目を奪われるのみだ。

異文化に触れた好奇心と故郷・長崎を離れた不安とではちきれそうな気持ちを抱えたハルの前に、突然降りかかってきたのはちょうどいましがた目にしたばかりの風景のスケッチだ。
続いてハルの目の前に、その描き手とおぼしき中国人の少年が現れて――ハルは彼の銀色の瞳に魅せられる。言葉はわからないものの、“同じ感性”を共有した2人の心は一瞬で通じあう。
いずれ異なる祖国を持つことに苦しめられる、小さな恋人たちの出会いである。

ハルがその少年・シンと親しくなっていくなかで、中国人の社会や文化、また日本人が中国人にとってどんな存在であるかを理解していく過程がつぶさに描かれる。
幼い少女の視点だからこその素朴な疑問、直感的な違和感が、当時を知らない読み手にもリアルに伝わってくるのだ。
今はまだ日本と中国が戦争を始めることなど思いもつかない2人が、この先大きな運命の輪のなかで、どのような関係を紡いでいくのかひたすらに注視したい。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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