『絶望男子と中国娘』第1巻
理央 秋田書店 \600+税
(2015年4月8日発売)
爆発しろ!
……失礼しました、あんまりにも主人公と中国娘が幸せそうだったものでつい。
重度のコミュ障でひきこもりな根子太郎、通称タロサン。
落し物を拾ったのがきっかけで出会った中国人少女・龍龍。
言いたいことがうまく言えない。普段からしゃべってないから、龍龍への言葉が全然出てこない。
これを龍龍が、ゆっくり「大丈夫デス」と待ってくれる。一緒にいてうれしそうにしてくれる。ほれないほうが無理ってものだろう。
ヒロインの龍龍は、日本語堪能で、コミュニケーションは円滑にとっているものの、日本の文化に関してはそれほど詳しくない。
これをタロサンがちょっとした教師役として教えてあげることで、言葉を自ら発することになる。意外にも龍龍にだけは、スムーズに話せるようになっていることに気づくタロサン。
これはコミュ障リハビリマンガだ。
不器用な恋愛は見ていて楽しい。しかし「コミュ障」で「ひきこもり」というタロサンの性格は根本的にまだ解決していない。
いくら龍龍と2人で幸せになっても、彼が心の傷を克服しない限り、前には進めない。
龍龍の心情は、ほとんど描かれない。
そもそも龍龍の他の友達や周囲の環境はどうなっているのか。タロサンの目から見た龍龍はごく一部。
いつも家に遊びにきてくれる龍龍に心を許しきっているタロサン。しかし一歩踏み出し、彼女を知る自信はまだない。
爆発しろは撤回します。まずは、ひきこもりとコミュ障の心の傷が癒えますように。
龍龍が、彼の成長によって幸せになれますように。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」