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『ダーウィンズゲーム』 第10巻 FLIPFLOPs 【日刊マンガガイド】

2016/10/25


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ダーウィンズゲーム』


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『ダーウィンズゲーム』 第10巻
FLIPFLOPs 秋田書店 ¥419+税
(2016年10月7日発売)


見知らぬアプリ「ダーウィンズゲーム」を起動したばかりに、生死をかけたソーシャルゲームに巻き込まれてしまった高校生・カナメ。
姿を消した殺人者、鎖を自在に操る無敗の女王など、それぞれ異なるシギル(異能)を有したゲームプレイヤーたちが、カナメに襲いかかってくる。
イメージした物体を作り出すシギル「火神槌(ヒノカグツチ)」でゲームに生き残るカナメ。
はたして無事に死のゲームをクリアすることはできるのか!?

「別冊少年チャンピオン」で連載中の『ダーウィンズゲーム』は、シギルと呼ばれる特殊能力を駆使して戦う能力系バトルマンガ。
開始当初はデスゲームものの定番ともいえる、1対1の対戦を勝ち残っていく展開が繰り広げられたが、途中から無敗の女王・シュカがカナメにクラン(チーム)結成を持ちかけ、物語はチームバトル戦へと軸を移していく。

作品中で「ダーウィンズゲーム」を軸に賭場を開帳し胴元を務めるクラン・トリニティが存在したり、現金を支払うことで身を守ってくれるカネヒラ保険組合が存在したりと、「ダーウィンズゲーム」を中心とした裏社会が形成されているのがおもしろい。
また、登場する女の子が可憐で、殺伐としがちな物語に華を添えているのも大きな見どころ。
デスゲームを前面に押し出していた初期の頃は若干ショッキング描写が多めだったものの、途中からは非常にエレガントな描写に抑えられているので、そうした描写が苦手な方も比較的なじみやすいのではないかと。

そんな様々なクランの思惑もまじえ、渋谷を舞台にした300人規模の期間限定イベント「宝探し」を終え、主人公・カナメも冷静な解析屋のレイン、死に別れた兄の魂を有し2つのシギルを持つスイ、といった仲間たちと新クラン「サンセット・レーベンズ」を結成。
さらに「ダーウィンズゲーム」ランキング1位の雪蘭(シュエラン)も「サンセット・レーベンズ」と手を組み、関東地方を中心に一大勢力を築き上げていく。

カナメの采配によって一時的に鎮静化しかけた「ダーウィンズゲーム」だったが、新たなイベント「ハンティングゲーム」が発動。カナメはクランのみんなと切り離され、無人島へと飛ばされてしまう。
この巻では謎に満ちた無人島を舞台に繰り広げられる「ハンティングゲーム」の様子が描かれる。

宗教組織のようなクラン・くちなわ会を率いる盲目の男・セイゲン、カネヒラ保険組合を束ねるカネヒラなど、一癖も二癖もあるキャラクターが入れ替わり立ち替わりカナメの前に立ちふさがる。
単身ゲームに挑むことになったカナメは、同じくゲームに参加していた新人プレイヤー・オージとコンビを組むことになる。

しかし、今回のゲームでのカナメの敵は今までのゲームとは大きく異なっていた。

島に潜む不気味な影。現実離れした巨大な体躯と、顔面に複数の眼球を持つ異様な怪物が現れ、プレイヤーたちの命を無残に奪っていく。並外れた体力と俊敏性に加え腕力も兼ね備えたこの化け物は、なんとシギルまでも使いこなす!

さらに謎を深めるのが島の様子だ。
ジャングルのように生い茂った草に覆われた渋谷駅前のモヤイ像や、永い年月がたちまるで遺跡と化したかのような建築物の数々などが島のあちこちで見つけられる。
ここは文明崩壊後の未来の世界なのか!?

生物の進化を意味する「ダーウィン」の名が冠された「ダーウィンズゲーム」を主催するゲームマスターの真意ははたして何なのか? ゲームマスターが放った処刑人・オボロの使命とは?
ゲームクリアに向けて大きく物語が動き出す!



<文・秋山哲茂>
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』『ドラえもん深読みガイド』(小学館)、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進!』(徳間書店)など。構成を担当した『てんとう虫コミックスアニメ版 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が発売中。4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士(見習い)。

単行本情報

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