365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
11月9日は「切り裂きジャック」が最後の犯行を犯した日。本日読むべきマンガは……。
『ジャバウォッキー』 第4巻
久正人 アース・スターエンタテイメント ¥595+税
1888年の本日は、切り裂きジャックによる「確実な犯行」とされる5件の殺人事件のうち、最後の犯行が発覚した日。
被害者となったのはメアリー・ジェイン・ケリー(25歳)。
犯行を重ねるごとに、しだいに増していったとされる猟奇性が頂点に達し、もっとも残忍な殺害方法で……と、これ以上を知りたい人は"自己責任"でよろしくお願いします、としておこう。
ご存じのとおり、これらは犯行から1世紀以上も経過した現在も未解決の事件であり、犯人の正体や、実際の事件の全貌についてもいまだ謎のまま。
それゆえ切り裂きジャックはフィクションの世界でもたびたびモチーフとされ、もちろん関連マンガ作品も多数。
代表的なところでは『ジョジョの奇妙な冒険』や『エンバーミング』などでゾンビやら人造人間になっていたりするが、数あるマンガに登場する切り裂きジャックのなかでも、その正体にパンチがあるという点では久正人の『ジャバウォッキー』に軍配が上がるのではないだろうか。
なにせ恐竜ですからね、恐竜!
もっとも、『ジャバウォッキー』の作品そのものが「絶滅を乗り越え、知性を持った二足歩行生物として恐竜が生き残った」という世界観ゆえ、切り裂きジャックの正体が恐竜であること自体に作品内では不思議はないのだが、この切り裂きジャックを扱ったエピソードである「ONE FOR THE ROAD」(単行本第4巻に収録)は、事件の真相も非常に秀逸。
未読の方のためにその核心は伏せておくが、恐竜をからめたロンドンの街の成り立ちや、とある有名な化石をめぐる解釈など、切り裂きジャック以外のパートにも久正人らしいウィットが満載の一編である。
ちなみに、このエピソードでは「白衣の天使」ことナイチンゲールがパブリックイメージを打ち破る活躍を見せるが、『ジャバウォッキー』と同じく久正人の筆による『ノブナガン』では、切り裂きジャックとナイチンゲールとが一心同体となってメチャクチャ活躍しているのは、アニメ化もされたのでご存じの方も多いことだろう。
「なんだそりゃ?」などと思った方は、そちらもあわせてすぐにご一読を!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。