『鬼灯さん家のアネキ(+妹)』第1巻
五十嵐藍 KADOKAWA/角川書店 \760+税
(2014年7月25日発売)
姉が好きすぎる、どシスコンの吾朗と、すきあらば吾朗に凶悪なイタズラを仕掛けるハルの姉弟。
じつは血のつながりがない2人。ハルが吾朗にイタズラするのは、心を閉ざしていた弟に対し、義理の家族として「姉」を演じようとする優しさだった。
そんな2人が、姉離れ、弟離れを決意する……というラストだったのが、前作『鬼灯さん家のアネキ』。
続編にあたる本作。年月が経ってハルは大学に行き、2人はどうなったかというと、吾朗のシスコンは最低の状態まで悪化中。
ところが、そこにハルの親戚で、エロ会話で攻めるドS系の妹がやってきたから、さあたいへん。色仕掛けを超えた淫靡な小悪魔妹っぷりに、姉好き吾朗が揺れてしまう。
前作が「本当の意味で家族になれた」という、いいラストだっただけに、「そうくるのか!?」とツッコミを入れたくなる。
とはいえ、パラレル的な作品なので、本作から読んでも十分「シスコンギャグ」として楽しめるはず。ちなみに、シモネタ度はこちらのほうが高い。
今のところは、ひっちゃかめっちゃか具合に拍車がかかった、痛快なラブコメ展開。
しかし、楽しいことの裏にはセンチメンタルなことがあることを、しっかりおさえているのが五十嵐藍の持ち味。意味深なセリフも随所にあり、1巻の時点からすでに、終わりの儚さを見すえたような、お祭り騒ぎ感にあふれる作品になっている。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」