日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『双亡亭壊すべし』
『双亡亭壊すべし』 第2巻
藤田和日郎 小学館 ¥429+税
(2016年10月18日発売)
伝奇モノをにおわせる設定と現代を生きる少年少女を融合させた、モダンホラーの名手・藤田和日郎の新作『双亡亭壊すべし』。
総理大臣みずからが爆撃命令を下すほど、いわくつきである幽霊屋敷・双亡亭と、それを壊すために走り出す緑朗、青一、務、紅の4人。
第1巻では彼らがなぜ「双亡亭の破壊を目指すのか」が描かれ、読者はその独特の世界観に引きずりこまれた。その謎だらけの設定に、第2巻の発売を今か今かと待っていたファンも少なくないだろう。
そしてついに登場した第2巻では、冒頭から「双亡亭破壊」に向けての説明会が開かれる。
集まったのは、日本中の工務店や解体業者たち。
彼らは、総理大臣が提示した双亡亭破壊の報酬“248億円”に惹かれてきた者たちだ。
そこに集まった腕っ節のありそうな男たちは、みな口を揃える。「バケモノ屋敷くらいでビビるか」。
しかし、彼らの自信は、説明会が始まると同時にうち砕かれる。
心霊特番の撮影で双亡亭に乗りこんだタレントたちがバケモノに襲われた事件。
その報せを受けた警察官20数名が1名を除き戻ってこなかったこと。
今では双亡亭での事件が、警察の未解決案件ファイルに封印されているという事実。
それらが文字どおり説明されたとたん、みな逃げ出してしまうのだ。
しかし、そこに留まった命知らずたちもいる。
彼らは“対超常現象のプロ”たち。
はたして彼らは無事、双亡亭を破壊することができるのだろうか。
そして、緑朗、青一、務、紅の4人も、各々の想いを遂げることができるのだろうか――。
本巻では、ついに双亡亭破壊に向けて動き出すさまが描かれる。
まがまがしい扉を開け、足を踏み入れた先はまさに異界。
この世のものとは思えない、不可思議な建物と、そこで待ち受ける“何か”。
そして、それぞれの異能力を発揮し、怪異に立ち向かう破壊者たち。
まさに少年心をくすぐる展開である。
第2巻にして、ついにスイッチが入った藤田和日郎のバトルモード。
まだ物語は始まったばかりにもかかわらず、もはやボルテージは最高潮を迎えそうだ。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。