365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
12月4日は鈴木伸一の誕生日。本日読むべきマンガは……。
『愛…しりそめし頃に…』 第2巻
藤子不二雄A 小学館 ¥1,095+税
本日12月4日は、漫画家・アニメーション作家の鈴木伸一の誕生日だ。
すっかり藤子作品の定番キャラクター・小池さんのモデルとして有名な鈴木伸一だが、それだけではなく、彼のキャリアも他メンバーと同様輝かしいものがある。
その一端が描かれているのが、藤子不二雄Aがトキワ荘の日々を描いた『愛…しりそめし頃に…』第2巻に収録されている、「新しき出会い」だ。
漫画家を目指して上京するも、その途上でアニメの道へと転身し、漫画家であり、アニメーション作家の横山隆一が主宰するアニメーション制作会社「おとぎプロ」へと入った鈴木伸一。
そんな彼が、久々にトキワ荘へと顔を出す場面からこのエピソードは幕を開ける。長編作品『ひょうたんすずめ』にアニメーターとして参加したことを報告しつつ、「動かぬものに魂をいれ、動かしたぼくらは、その瞬間……神様になったような気持ちになる!」と、念願の漫画映画に参加できた喜びを、満賀道雄と才野茂に語り倒すさまが描かれている。そのアニメに対する熱意と愛情は、のちに虫プロを立ち上げた手塚治虫にも劣らない。
その後、鈴木はおとぎプロを辞し、トキワ荘の仲間たちと合流してアニメ企画・制作会社「スタジオゼロ」を設立し、『おそ松くん』や『怪物くん』などで演出・作画監督を担当。
以降もキャリアを着々と積み重ね、2005年には世界最高齢のアニメーション制作集団「G9+1」を結成、現在では杉並アニメーションミュージアムの館長も務めており、近年もアニメ業界で活躍し続けている。
また、彼以外でトキワ荘メンバーでアニメへと転身した人間に、坂本三郎がいる。
当時からその画力においてはトキワ荘でも一目置かれる存在だった彼は、アニメーターへの転身後、『伝説巨神イデオン』、『聖戦士ダンバイン』などの富野由悠季監督作品で最終回の作画監督を務めていたりと、70~80年代のロボットアニメ界隈での活躍がその才を証明している。
アニメ道を選んだトキワ荘メンバーも、漫画家陣同様に、のちに偉大な功績を残す才人ばかりだったのだ。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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