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12月9日は「障がい者の権利宣言が採択された日」 『聲の形』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/12/09


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

12月9日は障がい者の権利宣言が採択された日。本日読むべきマンガは……。


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『聲の形』 第1巻
大今良時 講談社 ¥429+税


1975(昭和50)年の12月9日、国連総会にて「障がい者の権利宣言」が採択された。
この日をもって、障がいを持つ人の基本的人権が初めて示されたという。

それから約40年が過ぎたが、障がい者への理解は進んだだろうか。
大きくうなずけるかというと、まだ疑問が残る。
いまだ彼らへの差別や偏見は残っているのではないか。
その最たるものが、「いじめ」だ。

それをセンセーショナルに描き、物議を醸した作品がある。
『このマンガがすごい!2015』オトコ編で第1位を獲得し、この秋にはアニメ映画化もされた『聲の形』だ。

本作の主人公は健常者である石田将也。
彼が小学生時代にいじめを行い、その後の人生にも大きく関わってくるのが、聴覚障がいを持つ少女・西宮硝子だ。
そのストーリーラインはもはやだれもが知っていることと思うので割愛するが、ここで言及したいのは、どうして「障がい者へのいじめ」が起きてしまったのか、ということ。

その原因となったのは、好奇心。
それまでの人生において、障がい者に出会ったことがなかったであろう将也やクラスメイトたちにとって、硝子の存在は、ある意味衝撃的だったともいえる。
「私は耳が聞こえません」という自己紹介、うまく発音できない日本語、そして常に耳に装着している補聴器。
そのどれもが、彼らの好奇心をあおり、ちょっとしたいたずら心がしだいにひどいいじめへとエスカレートしていくのだ。
その描写はだれもが当事者になりえることを示しており、読んでいて恐怖を感じた読者も少なくなかっただろう。

障がい者への差別や偏見、いじめは決して許されることではない。
本来、健常者と障がい者の間に隔たりはないはずなのだから。

本作は、健常者と障がい者という対比から、しだいに人間対人間のつきあい方へと物語が発展していく。
最後まで読み終えた時、きっとそれぞれのなかにその答えが見つかるのではないだろうか。



<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。

単行本情報

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