日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『17歳の塔』
『17歳の塔』 第2巻
藤沢もやし 講談社 ¥581+税
(2016年12月7日発売)
高校2年生の高瀬理亜(たかせ・りあ)は、クラスのなかでも美人で目立つ少女。
「上」のグループでつるみ、みんなに慕われている、と思っていた。
自分はクラスのトップに居座っている、と思っていた。
彼女のことが好きでついて回っていた、もっさりした少女・小田嶋美優(おだじま・みゆう)。
理亜は美優が尻尾を振ってついてくるのを、悪く思わなかった。
ところが美優にイケメンの彼氏ができ、理亜に対して急に手のひらをかえす。
美優にカッとなって暴力を振るってしまった瞬間。
理亜はクラスのトップから、最下層へと転落した。
女子校でのスクールカーストの物語。
虚の張りあいが幾重にも重なり、複雑になりすぎて、各々だれも信頼できなくなってくる。
理亜のとりまきのひとりだった茉夏(まなつ)は、自分もハブられるのではないかと焦って、美優にすりよる。
クラスで劇をやるのが決まった時、美人な麻里は主役に抜擢された。しかし何者かによって教師とつきあってる場面が盗撮され、彼女は学校に来なくなった。
芥川龍之介『蜘蛛の糸』でカンダタが、登ってくる人間を蹴落として一番になろうとしていたのにそっくりだ。
いかに相手の足をひっぱるかの勝負。
もちろん、引きずり下ろして自分が上に進んだところで、次はほかの人の標的になるだけ。
足をひっぱる人間が悪だとか、スクールカーストはいけないことだとはこの作品は描いていない。
みんな必死に、自分が生きる区域を探しているだけだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」