日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『ひめごと ～浮世艶草子～』

『ひめごと ～浮世艶草子～』
八月薫（著） 篁千夏（脚）リイド社 ￥600+税
（2016年11月28日発売）

じつは意外と奔放で猥雑だった？　江戸期日本の性文化を描く話題作『浮世艶草子』シリーズの最新作は、西国雄藩・薩摩国の姫君と家臣の珍道中。

輿入れ行列の最中にかどわかされた姉姫にかわって、急きょ江戸へ向かわねばならなくなった薩摩支藩の姫・敬（たか）。
とんでもないじゃじゃ馬で性の勉強はおろか、社会勉強すらおぼつかない敬姫だったが、目的地に到着するまでの道中で殿方を夢中にさせるようなテクニックを会得しなければならない。

敬姫は支藩・山川藩の蜜命を受けた日高六郎太と守役の祁答院（けどういん）、別式女（武芸指南役）の喜入鈴（きいれ・りん）をともに、行く先々の宿場で性風俗についての様々な知識を学んでいく。

処女だった姫君が薩摩～江戸間の行程で「大人の性」を学ぶエロチックコメディではあるが、主軸となる姉姫君失踪事件の背後にひそむ政治的な思惑もからむアクションものとしての側面も興味深い。

色気とはほど遠かったじゃじゃ馬姫君が旅を続けるなかでエロエロ学んでいきながら見せるエロかわいさにも目が離せない。

＜文・富士見大＞
編集・ライター。特撮のあれこれやマンガのあれこれに携わり、最近作は『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀』、「東映ヒーローMAX Vol.54」。絶賛発売中の『「ウルトラマン超解析」大怪獣激闘ヒストリー！』にも参加しています。