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『漫画家、パーキンソン病になる。』 島津郷子 【日刊マンガガイド】

2017/01/08


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『漫画家、パーキンソン病になる。』


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『漫画家、パーキンソン病になる。』
島津郷子 ぶんか社 ¥1,000+税
(2016年12月10日発売)


「YOU」で長期連載された『ナース・ステーション』シリ―ズで知られるベテラン・島津郷子が、漫画家として脂の乗り切った2001年初頭に突如、身体の不調に見舞われ、長い年月を経て神経変性疾患=パーキンソン病と診断されるまでの苦労と、電極埋めこみ手術に至るまでが描かれる。

パーキンソン病は安静時の手足の震えから始まり、動作の緩慢、自律神経症状、睡眠障害、抑うつ等の精神的な症状が少しずつ進行していき、果ては寝たきりになる人も。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公・マーティ役で一世を風靡したハリウッドスターのマイケル・J・フォックスが30歳で発症し、若くして第一線から退かざるをえなかったのは、あまりにも有名な話だ。

そもそも発症原因自体が不明のため、医者たちもハッキリと診断がしづらい病気だということが、本作を読むとよくわかる。
島津も最初の病院で神経内科の医者に「疲れからくるもの」といわれ、その後は精神科へ。この時点で相当量の薬を飲んでいるのだが、なかにはパーキンソン病にご法度のものも含まれていた。

日常生活に支障をきたすようになり、漫画家としても休業に追いこまれ、入退院を繰り返すうちに、島津は自身がパーキンソン病ではないかと疑い始める。
だが、医者からは「パーキンソンではない」と断言されてしまうのだ。

それでもいっこうに改善しない体調にますます精神汚染が進んでいく。7年越しでようやく「間違いなくパーキンソンです」と宣言された時には、喜びにも似た複雑な感情が。
そして、震えを抑えるのに効果的な脳神部刺激療法を晴れて受けることに。いやはや壮絶のひと言だ。

とはいえゴリゴリの闘病モノというわけではなく、島津がイケメンドクターに淡い恋心を抱くホッとするような場面もあり、読み口はそれほど重くはないので、「パーキンソン病って名前は聞いたことがあるけど、どんな症状かはさっぱり……」というアナタに、ぜひとも手に取ってほしい1冊だ。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口を凌ぐライター。

単行本情報

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