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【日刊マンガガイド】『かびんのつま』第2巻 あきやま ひでき

2014/08/12


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『かびんのつま』第2巻
あきやま ひでき 小学館 ¥552+税
(2014年7月30日発売)


アスファルト臭で、呼吸困難になる!? スリッパの合成ゴムが足の裏から侵入してくる!?
世の中にはさまざまなアレルギーがあるのはうすうす知っているつもりでも、「まさかこんな症状がありえるのか!?」のオンパレード!

本作は、化学物質過敏症をはじめとするさまざまな“過敏症”の症状に悩まされる“妻”の闘病を描いた、衝撃の実録コミック。
彼女にとって、我々が普通に暮らすこの世は危険のカタマリ。毎分毎秒がサバイバルなのである。

高価なオーガニック食材を買い求めても、わずかに添加物や消毒薬が使われていれば反応が起こる。
電磁波過敏症のために電気製品を使うと、電磁波で火傷を負ったり、のどをしめつけられるような苦しみをともなう。
光過敏症も深刻で、太陽の光だけではなく蛍光灯もNG。外光を完全に遮断した部屋のなか、小さなあかりを壁に当て、間接照明で食事をする姿。

妻の症状が悪化するにつれ、2人は手をつなぐことすらできなくなってしまう。
仕事場や屋外で夫が吸着してきたタバコや排気ガス、たとえば隣りにい合わせた人から移った整髪料の香りさえ、妻にとっては耐えがたい毒。服を着替えて風呂で全身を洗い流してさえも、反応が出てしまうのだ。

ちょっとの油断が、死を覚悟するほどの苦しみの引き金となる、まさに薄氷を踏むような日々。そんななか、どうにか工夫をして生活を成り立たせようとする妻の前向きな明るさが、なんともいじらしい。
そして、少しでも妻が過ごしやすいように協力する夫の愛情も、本作の救いとなっている。

いっさいアレルギーを持たない筆者にとっては、にわかには信じがたい世界だが、せめてできるだけの理解を持ちたいと考えさせられる。
まだ病気の認知度の低い世の中で、本作はその役割を果たし、また同じ症状に苦しむ当事者たちの希望の光にもなっているだろう。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ド少女文庫

単行本情報

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