365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月2日は初夢を見る日。本日読むべきマンガは……。
『山登りはじめました めざせ!富士山編』
鈴木ともこ KADOKAWA ¥1,100+税
「初夢」とは、元旦の夜から2日の朝にかけて見る夢、あるいは2日から3日にかけて見る夢のこと。
縁起がよいといわれるのは「一富士二鷹三茄子」
だけど、そううまいこと富士山の夢を見られるわけもない。ならば、いっそ霊峰・富士山に登ってみれば手っ取り早く御利益を得られるかも!
本作は、運動オンチに加えインドア派で体力ナシの著者による初心者山登り体験コミック。
道行きをともにするのは夫や友人、両親など身近な人たちだ。
登山のプロにいざなってもらうのではなく、素人ながらにしっかり自分で下調べをし、どうしたら挫折しないで登りきれるか計画的に行動するところに好感が持てる。
あると便利な登山グッズや季節ごとの服装を紹介したコラムページも充実。『強気な小心者ちゃん』シリーズでおなじみの著者らしい用意周到さが発揮されている!
高尾山から始めていくつかの登山をこなし、本作のハイライトとなるのが富士山登頂だ。
約5割が登頂に挫折するといわれる富士山だが、ここでも著者の行き届いた下調べ力が発揮される。ネックになる元凶は何か、ペース配分についてなどこれでもかと研究を重ねて対策は万全!
さて、実際に富士山を目指してみると、予想外の悪天候に見舞われてしまうのだが……!? ちょっと前までアウトドアとは無縁だった女性が富士山にチャレンジするたいへんさ、登って初めてわかる喜び、どちらも素直に綴られているのがいい。
山小屋の様子、初心者には気になるトイレ環境、ルートや所要時間などもみっちりレポートされているので、読んでいるうちになんだか自分も富士山に登れそうな気がしてくる。
富士登山の格好の参考書といえそうだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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