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1月12日は大坪砂男(探偵作家)の命日 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/01/12


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

1月12日は大坪砂男の命日。本日読むべきマンガは……。


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『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』 第1巻
虚淵玄(ニトロプラス)(案) 佐久間結衣(画) 講談社 ¥570+税


本日は、探偵小説の大家・ 大坪砂男の命日。
香山滋や山田風太郎など、雑誌「宝石」が輩出した名作家をまとめて「戦後派五人男」と江戸川乱歩が評したうちの一角であり、ミステリや探偵ものの歴史が好きなむきに有名な人物である。

2013年、その大坪砂男の全集第4巻『零人』(創元推理文庫)が刊行された際、編者の解説のなかでひとつの事実が明らかにされた。
なんと、美少女ゲームメーカー「ニトロプラス」のシナリオライターにして今やアニメ・特撮など一般メディア作品でおしもおされぬ人気脚本家となっている虚淵玄(うろぶち・げん)が、大坪砂男の孫にあたるというのだ。
虚淵ファン、探偵小説ファンの双方から、驚きとともに「なるほどなー」といううなずきも生じたしだいである。もともと小説家志望だったそうですからね、虚淵氏。

というつながりで、今回ご紹介するのは『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』。
虚淵氏が台湾由来の人形演劇“布袋劇”の原案・脚本・総監修をつとめたということで話題を集めた同名作品のコミカライズである。

太古の昔、魔界と人間界の熾烈な戦いがおこなわれた。
神誨魔械(しんかいまかい)と呼ばれる超強力な霊的武器を使って人類が魔族を追いはらい、長い歳月が過ぎたあとの時代。
神誨魔械のなかでも最強とされる「天刑劍(てんぎょうけん)」が凶悪な武闘集団を率いる刀剣コレクターの悪漢・蔑天骸(ベツテンガイ)により強奪の危機にさらされたおり、剣を守る一族の姫君・丹翡(タンヒ)が流浪の剣士・殤不患(ショウフカン)や美貌の策士・凜雪鴉(リンセツア)と運命的な出会いを果たす。
一行は蔑天骸に奪われた剣のパーツを取り戻し、この世の危難をふせぐべく、超人的な技を持つ猛者たちが交錯する戦いの旅路へ向かう……というファンタジーアクションである。

ストーリーの大筋は同じだが、いや、同じだからこそ、顔の表情が変わらない人形が激しい動きによって心理表現する劇と、静止したページ上で表情豊かなキャラクター描写により心理を掘り下げられるマンガとの、メディア的な情報の伝え方の違いを味わうことができる。

その意味では、もとの人形劇のほうを鑑賞ずみの方にもかえっておすすめしたい。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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