日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『君はラーメン屋で恋をする』
『君はラーメン屋で恋をする』
茉崎ミユキ KADOKAWA ¥600+税
(2016年12月23日発売)
ラーメンをめぐる、数組の男女を描いたオムニバス。
少女すみれは、ラーメンが大好きな一平に「今日の放課後付き合ってもらえませんか」と話しかける。彼女が行きたかったのは、大盛りマシマシ系ラーメン店。
毎週木曜日の昼食時間に、理科準備室を訪れる青葉。
彼女は理科の信濃路先生といっしょに、カップ麺を食べるのが狙いだ。
食通の家庭に育ったお嬢様、と噂される美人の石神さんは、高嶺の花。
なんの変哲もないラーメン屋の息子・日高が出前を持っていった彼女の家は、ごく普通の家庭だった。
赤点続きの不良・中田は、進級のチャンスとして園芸部を手伝うことになった。
園芸部にいたたったひとりの部員、陽菜(ひな)のために、彼は冷やし中華を作る。
それぞれのキャラクターの関係が、しだいに交わっていく群像劇。
ラーメンは、日本人ならだれもが、なんらかのかたちで食べるもの。
だからこそ、会話が成立しやすい。
照れて困ったときは、ラーメンの話をすれば、なんらかのフックになる。
青葉と信濃路先生のやりとり。
食べているのはなんの変哲もないカップラーメン。
青葉は、大好きな先生とのコミュニケーションのきっかけを作りたかったのだ。
この2人が次の話で、つけ麺屋にいくようステップアップしているのには、ニヤリとさせられる。
ラーメンを心の底からおいしそうに食べる姿から、青春を堪能できる作品。
『ラーメン大好き小泉さん』とあわせて読みたい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」