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『デスコ』 第5巻 カネコアツシ 【日刊マンガガイド】

2017/01/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『デスコ』


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『デスコ』 第5巻
カネコアツシ KADOKAWA ¥740+税
(2016年12月24日発売)


人の生き死にというものは、罪の積み重ねでしかないのかもしれない。
その始まりも終わりも朦朧としていておぼつかない。
ただその茫漠とした始まりと終わりの両極をさまようだけだ。

人の脳は、強い刺激を受けるとアドレナリンを分泌する。
「生きている」という実感の大半はこの脳内物質による興奮状態をさしているという説があることをご存じだろうか。この説を信じるかどうかは、いわゆる「人それぞれ」であろうが、殺(や)るか殺(や)られるかのデスゲームに身を投じたり、それをながめたいという願望は、このアドレナリンへの嗜癖が原因だということに異論を持つ人はいないだろう。

デスゲーム。
まさしく殺しあいのゲームを描いた『デスコ』は、これまでのストーリーで執拗なまでに、謎の殺しあいを描いてきた。謎の組織「ギルド」が指定する対象を、互いに競いあいながら様々な方法で暗殺する「リーパー」たち。
異装をまとい、奇抜で凄惨な凶行に及ぶリーパーたちのなかで、伝説となっている美しき最強のリーパー「マダムM」。そのマダムMに異常な執着を見せるリーパー殺しのリーパー「ディービル」。
そして、マダムMの館で暮らす不気味な少女「デスこ」。

最新刊となる今回、ディービルに捕らえられたデスこと、デスこを殺させたくないマダムMの過去が描かれる。
さきほど「デスゲーム」と書いたが、本作はむしろ「死のダンス」を踊る「死のディスコ」を意味するタイトルのとおり、ゲームというよりもダンスを描くものだというべきだろう。

マダムMは自分を殺させるためにデスこを「雇って」いる。
現役最強といわれるディービルは、狂った世界を正すためにリーパーを殺戮している。
そしてデスこは、単に殺しを楽しんでいる。
無意味に見える有象無象が蠢く舞台の上で、「死のダンス」だけが登場人物たちに輝きや意味を与えているといえるだろう。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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