365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月22日はミスカトニック大学南極探検隊が狂気山脈を発見した日。本日読むべきマンガは……。
『狂気の山脈にて ラヴクラフト傑作集』 第1巻
田辺剛 KADOKAWA ¥680+税
1931年1月22日、アメリカ合衆国・マサチューセッツ州アーカムに存在するミスカトニック大学の調査隊は、南極大陸にて漆黒の山脈を発見。雪に覆われた銀世界にはおよそ似つかわしくない威容に包まれたその山脈の内部には、正体不明の古代遺跡が存在していた。
しだいに明らかになっていく衝撃の事実に、調査隊の面々の精神は狂気の淵へと追いやられていくのだった……。
コズミック・ホラーの一大体系「クトゥルフ神話」の開祖としてもその名を知られている、ホラー小説家H・P・ラヴクラフトが執筆した『狂気の山脈にて』は、短編・中編の名手として知られる著者としては比較的珍しい長編作品であり、幼い頃から極限の秘境たる南極に憧れ続けたラヴクラフト渾身の一作としてファン人気も高い一作だ。
当然、国内外でも幾度かコミカライズ版が制作されており、日本では2015年に宮崎陽介が『戦慄のクトゥルフ神話 狂気の山脈』(PHP研究所)、2016年に田辺剛が本作を刊行。
なかでも近年の作品である田辺版は、ラヴクラフト特有の繊細さと陰鬱さを見事に表現した巧みな画面や、物語の都合上原作では描かれなかった細かなシーンの追加など、マンガ作品ならではの利点があふれた作品として仕上がっており、ラヴクラフトファンを豪語する方にも胸を張っておすすめできる1作だろう。
今月の25日には続巻である第2巻が発売予定であり、これを機会に一気読みしてみるのはいかがだろうか。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。