日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『非オタの彼女が俺の持ってるエロゲに興味津々なんだが……』
『非オタの彼女が俺の持ってるエロゲに興味津々なんだが……』 第1巻
滝沢慧(作) 草壁レイ(画) 睦茸(キャラクター原案)
KADOKAWA ¥620+税 (2017年1月20日発売)
エロゲオタクの男子高校生・小田桐一真(おだぎり・かずま)。
学校でだれもがうらやむ美人であり才女の高嶺の花・水崎萌香(みさき・ほのか)に突然告白される。
「私をあなたの奴隷(カノジョ)にしてほしいの」
「小田桐くんに攻略されたいの
こういうゲームに出てくる女の子達…みたいに」
彼女が持っていたのは、一真が忘れていたエロゲー「最終痴漢バス3」。
よりにもよって地雷級なタイトル。
一真のことが好きな萌香は、彼が好きな物を知りたい、彼の好みに合う女の子になりたいと奮闘。ところがスカートをめちゃくちゃ短くする、エロ下着をはく、胸をもませるとエスカレート。
別に痴女じゃなく恋ゆえなんだけれども……少年には少々刺激が強すぎる。
かなりストロングスタイルなハーレムラノベのコミカライズ。
マンガの作りは新しめなのだが、ノリと内容はかなり懐かしさを感じる。
というのも一真たちのエロゲ文化観・萌え観が00年代的だからだ。
一真が持つゲーム「魔法少女アミ」、「夜間病棟」、「俺が願う永遠」などなどの、元ネタであろう作品群は、2000年前後発売の物ばかり。
現在オタク文化は、あまり「オタク」という枠にとらわれなくなってきた。
アニメ・マンガ・ゲーム・コスプレなんかは、名前くらいは知っているくらいになってきている。
しかし「エロゲー」は今も昔も、18禁として隔離されていることもあって、オタクの専門パートのままだ。
主人公の一真は(高校生だけど)エロゲーに対して敬意を払っている。
「エロゲの18禁はいうなればドレスコード! CEROにも常識にも縛られない自由な発想を可能にするため制作側がユーザーに求める資質なんだよ!
どんなに人気が出てもコンシューマ移植を拒み続けるブランドもある! エロゲって媒体だからこそ最高の良さを発揮する作品が数え切れないくらいあるんだから!」
彼の「好きな文化に対しての高い誇り」は、じつにオタクらしい。いい意味で。
極端な行動の女の子たちに囲まれる一真。
萌香の現実とゲームの境界線のなさは、まんま「これなんてエロゲ?」だ。
だからこそ一真は恋愛とゲームに線を引きなおす。
ドタバタギャグキャラクターな萌香といることで、一真がエロゲと恋愛と自分を客観視できていくのがおもしろい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」