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【日刊マンガガイド】『ヤンキーとヤンデレの彼らには友だちがいない』 芳川由実

2014/08/22


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『ヤンキーとヤンデレの彼らには友だちがいない』
芳川由実 白泉社 \429+税
(2014年8月5日発売)


休み時間、同じように机に着いて本を読んでいる17歳の男子2人。ただ、彼らは決して仲がいいわけじゃない。番号順やら背の順やらで隣にさせられたり、組まされたりすることが多いだけ。ただ、そんな彼らに共通点があるとしたら、イケメンだということ、そして友達がいないということ!

涼しげに『みんなの刑法』を読んでいる優等生でニヒルでクールな五百川諒と下品な乱暴者、けどイケメンな阿古島真人。どちらも一見華やかな学園生活を送っていそうだが、実際のところは、五百川は「監禁罪に抵触せずに 誰かを半永久的に閉じ込めるにはどうすればいいと思う?」とか言っちゃうくらい闇も病みも深くて、阿古島は阿古島で見た目に反して純情でDT(童貞)をこじらせていて!?
そんなヤンキーな阿古島と、ヤンデレの五百川が織り成す日常青春譚が、『ヤンキーとヤンデレの彼らには友だちがいない』である。

男性はもちろん、女性でも“どうせイケメンものでしょ?”とスルーしようとしている人にこそ、おススメの一作だ。いやぁ阿古島も五百川も、イケているのは見た目だけ、そこ以外は完全に残念。
内容としては完全にコメディで、とにかくおバカ。巨乳について真剣に談義したり、高校生男子の煩悩も全開だ。ただ、それでも下劣なものにはなっていなくて、バカだなって笑いながら心地よく読めるのは、さすが少女マンガ(「ララメロディonline」掲載)。

決してイケてはないけれど、バカでスケベで不器用なところ含めて、阿古島も五百川もかわいらしくて魅力的。いや、バカだからこそ、ここまでかわいいのか!?
見た目や恋愛テクニック的なところにではなく、欠点や笑いになるところにこそ萌えがあるというのが、2人のキャラクターと本作のおもしろいところだ。結果としてイケメン目当てでなくても、そのイケてなさがイケてる阿古島と五百川のバカメンぶりに、キュンときてしまうはず。ゆるい空気間のなかでの男子同士の掛け合いを楽しみたいという人も、ぜひ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Summer」が発売中。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。

単行本情報

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