日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『薔薇王の葬列』
『薔薇王の葬列』 第7巻
菅野文 秋田書店 ¥429+税
(2017年1月16日発売)
歴史に名高い薔薇戦争時代――。
ヨーク家とランカスター家、王位をめぐる闘いは複雑な人間模様とあいまってますます激化。
本作は、主人公であるヨーク家の三男・リチャード(のちのイングランド王・リチャード三世)を両性具有の人物として描いているのだが……リチャードの因果な運命が狂おしき愛憎となって燃え上がる!
偶然に出会い、いつしか互いを愛するようになった相手が、宿敵ランカスター家のヘンリー六世だと知ったリチャードは大きなショックを受ける。
長兄が無事に王位を奪還し、この戦いが終わったら彼と平穏に過ごしたいと望んでいたというのに……。
もちろん、ヨーク家に身柄を拘束されたヘンリー国王もまったく同じ痛手を心に負ったわけだが。
ヨーク家を裏切ってランカスター家に取り入り、ヘンリー国王に代わって戦陣の指揮をとっていたウォリック伯の戦死。形勢不利ななか、ランカスター軍を勇ましく鼓舞する女王・マーガレット。
ともにリチャードに想いを寄せながら、政略結婚により結ばれたランカスター家の後継・エドワードと、ウォリック伯の娘・アンの関係の変化など、物語が大きく動く第7巻。
「ヘンリー六世」編、いよいよクライマックス。残酷な宿命に翻弄されるリチャードの心はどこへ向かうのか!?
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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