365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月16日はツェッペリン・シュターケンR-IVが出撃した日。本日読むべきマンガは……。
『宮崎駿の雑想ノート』
宮崎駿 大日本絵画 ¥2,300+税
本日2月16日は、『宮崎駿の雑想ノート』に収録されている「ロンドン上空1918年」にて、大型爆撃機のツェッペリン・シュターケンR-IVが出撃した日だ。
『雑想ノート』は、ミリタリ方面への造詣の深い宮崎駿が、飛行機から船まで、兵器を愛情たっぷりに描いた短編集。
そのなかの一作、第一次世界大戦中のドイツ軍によるイギリスへの爆撃を題材とした「ロンドン上空1918年」も、ご多分に漏れず非常に趣味色の強い作品だ。
パワフルな4発エンジン、爆弾搭載量が自慢のR-IV。だが、トラブルも多く抱えていた。
本作では、片翼に2基ずつ搭載されているエンジンは、エンジン同士をつなぐギアがすぐに壊れるなどのトラブルが頻発し、飛ばすだけでもひと苦労。
そんなR-IVに整備兵長ハンスを中心とした宮崎作品おなじみの豚たちが乗りこんで、コミカルに戦場を駆けめぐる模様が描かれている。
エンジンをなだめつつ、敵機をかいくぐるのに精一杯な状況で、R-IVはヒロイックな活躍をまったく見せない。だが、その濃密な筆致から伝わるポンコツメカの愛嬌と、豚たちの悪戦苦闘は、メカ好きの琴線に触れること間違いなしだ。
ちなみに本作の整備兵長ハンスは、同じく『雑想ノート』に収録されているポルシェティーガーことVK4501(P)を描いた「豚の虎」や、『 宮崎駿の妄想ノート 泥まみれの虎』に収録されている「ハンスの帰還」にも同名で登場しており、どの作品でもメカと格闘するさまが印象的なキャラクターだ。
『泥まみれの虎』も、虚実まじえた宮崎ワールドで繰り広げられる戦車戦の数々がミリオタ心をくすぐる内容となっており、『雑想ノート』にこれから触れる方は、ぜひともこちらも確認していただきたい。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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