日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』
『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第9巻
富野由悠季、矢立肇(案) 太田垣康男(著) 小学館 ¥694+税
(2017年1月30日発売)
JAZZYなムードと、戦争としての容赦なさで“大人”の『ガンダム』を魅せる『サンダーボルト』。
そのアニメ第2シーズンの配信スタートが3月24日に迫るなか、コミックスも盛り上がりを見せている!
脳から直接MSを直感的に操作するリユース・P・デバイス。
その、ジオンが開発したシステムの絶大な能力を恐れた連邦軍は、極秘裏にその技術開発を継続している南洋同盟の水上都市リグを急襲した。
そこにはサイコザクのパイロット候補が集められているはずだった……。
作戦に参加するペガサス級強襲揚陸艦スパルタンは、リグへ強制的に接岸し、兵士を送りこむ。
もちろんMS部隊も運用し、海へ逃げようとする人々を見逃す気はなかった。
圧倒的な戦力を背景に容赦なく、パイロット候補生を探すスパルタン隊。
その姿は民衆にとって恐怖でしかない。
一方、スパルタン隊の強襲を受け、南洋同盟のレヴァン僧正はパイロット候補生たちの心に直接語りかけ、逃げるように指示をした。
ジオン残党軍リユース・P・デバイス奪還部隊のMS隊長、ダリルの盟友だったフィッシャーもまた、候補生のビビたちと家族として生きる道を選び、ともに逃亡することに。
連邦軍の徹底した包囲網をかいくぐるも、イオ・フレミングのアトラスガンダムが迫る。
敵味方、戦争に善も悪もないだろうが、『サンダーボルト』はその描き方が強烈だ。
第2部では、連邦軍の悪魔ぶりに拍車がかかり、主人公のイオでさえ、恐怖の象徴に描かれている。ただただハードボイルド、戦争の残酷さをこれでもかとばかり描ききる本作は、ある意味『ガンダム』の本質といえるだろう!
<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。