日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』
『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第6巻
富野由悠季(案) 太田垣康男(著) 小学館 ¥694+税
(2015年10月30日発売)
アニメ『機動戦士ガンダム』の舞台である「1年戦争」を題材とした、マンガオリジナルのガンダム作品である本作。
先日アニメ化も発表され、ますます注目度の高まっているなかでリリースされた最新巻は、南極エリアでの氷上、そして深海にまで及ぶ水中戦という、過酷極まる環境でのバトルを描く。
ところで、よくロボットアニメなどで「戦闘パート」「ドラマパート」というような呼び方をする場合があるが、なんとなく話の運びがかったるいな~と感じる作品は、ストーリーを進める部分とバトル要素が、あまりうまく絡んでいないことにその原因がある場合が少なくない。
しかし、本作においてはそのような心配はご無用。たとえ描かれるのはわずかなコマ数であっても、パイロットのバックボーンをしっかりと匂わせ、そして戦闘での一撃一撃すべてに物語を感じさせるゆえに『サンダーボルト』はアツい。
いわば本作は「戦闘こそが最高のドラマ」なのである。
さらに加えてこの第6巻では、いわゆる“太田垣アレンジ”が入りまくったモビルスーツなど兵器類の描写もますますさえわたる。
特に氷原に爪を立て、滑走するゴッグのカッコよさ!! これにシビれない男子はいません(断言)!
ほかにも水中用ボールによる哨戒任務やグラブロVSアトラスガンダム(本作オリジナルのガンダム)の死闘などなど、「たまんないな、これ!」としか言いようのないシチュエーションの連続。
もう、これだけで大満足。いや、もちろんそれだけじゃなくて、人物造形もめっちゃイカしてますけどね!
というワケで、ガンダム好き、そしてガンプラ好きなら迷わず買いであることは言わずもがなですが、政治的なかけひきやら、あるいは戦うことの意味が云々……みたいな、ぶっちゃけメンドクサイ描写が思いきって削ぎ落とされているゆえに「なんか、ガンダムって小難しそうじゃね?」と敬遠している人にも、ぜひ読んでいただきたい一冊。
要するにこれ、「ヤベェ、超カッケー!」のひと言で魅力が説明できる作品ですので!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。