365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月23日はふろしきの日。本日読むべきマンガは……。
『HUNTER X HUNTER』 第11巻
冨樫義博 集英社 ¥390+税
2月23日は「ふろしきの日」。
これは京都ふろしき会・京都ふろしき振興会・東京ふろしき振興会によって組織された日本風呂敷連合会が2000(平成12)年に制定したもので、由来は「2・2・3」と「つ・つ・み」の語呂合わせである。
風呂敷に関連した団体がそんなにあったのか……ということにまず軽く驚くかもしれないが、ここ最近、風呂敷の万能性や有用性が見直されているのも事実。きっとその影には、関係団体のみなさんの努力があったのかもしれません。
さて、マンガの世界でもっとも有名な風呂敷といえば、おそらくは『ドラえもん』に登場する「タイムふろしき」だろう。しかし、どちらかといえばこの道具、「ふろしき」部分よりは、包んだものの時間を戻したり進めたりする「タイム」のほうに重きが置かれているような気もするしだい。
なので、本日はより「包む」という風呂敷の能力が超絶に強化された「不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)」が登場する『HUNTER×HUNTER』を「きょうのマンガ」としてピックアップしておきたい。
『HUNTER×HUNTER』で「不思議で便利な大風呂敷」が初登場するのは、ジャンプコミックス版第9巻。
マフィアンコミュニティを束ねる「十老頭」の“実動部隊”である「陰獣」のメンバー・梟が使用する念能力(いちおう解説しておくと、本作における超能力のようなもの)で、まさに風呂敷のごとく「あらゆる物を包むことができる」というもの。大きさや数に関係なく物体や生物を包んで縮小することが可能で、使い方によっては無敵の強さを発揮できるであろうレアな念能力である。
その応用性の高さゆえか、幻影旅団の団長・クロロに奪われてしまうわけだが、その後、幻影旅団がオークションを襲撃した際に膨大なコレクションの強奪に使われただけでなく、VSゼノ&シルバの緊迫した場面でもふたたび使用されるなど、なかなかに忘れがたい印象を残す念能力である。
ところで、現実世界の風呂敷って、正式な寸法のものは正方形ではないことをご存じだろうか?
その形状が様々なものの包み方を可能にしているわけだが、ぜいたくをいえば「不思議で便利な大風呂敷」も、もっと風呂敷の応用性を活かしたバトルを見せてほしかったところ。
ヒソカとのバトルで使われなかったのは、ひょっとしたらもとの持ち主である梟がお亡くなりになられた(クロロが奪った念能力は、もとの持ち主が死亡すると使えなくなるという縛りがある)の……? と、やや心配だったりもするが、多くの読者にとっての気がかりは、それよりも「暗黒大陸編」で一気に広げられた“大風呂敷”のほうでしょうか?
いやいや、そちらはゆっくりと続きを待ちましょう。ゆっくりと、いつまででも……。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。