日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『猫田のことが気になって仕方ない。』
『猫田のことが気になって仕方ない。』 第10巻
大詩りえ 集英社 ¥420+税
(2017年2月24日発売)
未希子にはクラスメートの猫田の顔が「猫」にしか見えないのだが、ほかのみんなにはちゃんと人間に見えているらしい!? その理由はなんなのか、彼はいったい何者なのか。
奇想天外な設定だけどいわゆるファンタジーではなく、むしろある種哲学的かも。
ローティーンの純な恋と友情を描いたラブコメ、本巻にて完結!
中学生になってから猫田を好きな女子も現れて、恋にうとい未希子も少しはそんな感情を意識するようになるかと思いきや、なかなか進展せず。
自分にとって猫田は大事な友人たちのなかでも、とりわけ特別だというところまでは気づくのに、そこから先の決定的な結論に到達しなくて読む側はヤキモキ!
だけど、それが未希子っていうキャラクターなのだ。明るいけれど、転校を重ね、友だちとの別れを何度も繰り返すうちにドライな性格になったこともあった。
猫田たちと出会い、いろんな感情や楽しさを共有できる仲間との絆を信じることができるようになって。
そんな今、だからこそ心にめばえた感情を、自分の言葉で解き明かしていこうとする未希子のセリフ一つひとつがいじらしい。
ホントここまでだいぶ焦らしてくれましたが、ようやく猫田くんの本当の顔が拝める大団円の最終巻。猫田くん視点の番外編もうれしい。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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