日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『美男葛の庭』
『美男葛の庭』
松本花 芳文社 ¥620+税
(2017年2月27日発売)
木造一軒家、縁側と庭のある懐かしい祖父の家。
庭の木になる、艶やかな赤い実。
そしてそのそばにたたずむ、その実と同じくらいに美しい青年――。
一瞬で心奪われざるをえないシチュエーションだ。
主人公・航平は、その場面に2度出会っている。
1度目はまだ祖父が元気だった幼い頃。
2度目は会社員になってから。
驚くべきは、その青年がまったく姿かたちが変わっていないことだった。
絶対妖怪だ。それも「座敷わらし」に違いないと航平は思いこむ。
そんな座敷わらしとのコミュニケーションがなぜか成立してしまい、2人は徐々に仲よくなっていくが――。
ひと言でいって、本当に読み心地のいい作品だ。
適度にファンタジックで、なおかつ日常にさりげなく入りこむ不思議さがとても魅力的。
加えて登場人物の誰もがあたたかく、ページをめくるたびに自然と心なごんでしまう。
清潔感のある繊細な絵柄も作品内容にぴったりで、読むと幸せになることうけあいだ。
座敷わらしはツンデレだと紹介文にあるけれど、本当にかわいいほうのツンデレなので、どうしても表情がにやけがちに。
どうか読書時の周囲の視線には気をつけて(笑)!
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」