別れても青春の輝きは一生持ち続けられる
――第43集についておうかがいします。2人のラストは個人的には意外なものでしたが、そのようなエピソードにしようと思った理由をお聞かせください。
みつはし マンガとして“永遠の青春”は、もう無理ではないかと考えるようになったんです。ああいうラストにすることによって、初恋の思い出は永遠になる。最近になってそう思うようになり、サリーがチッチに片思いしはじめた時から、サリーはこういう結末を意識するようになった。でも、青春の輝きは一生持ち続けられるということを、読者に伝えたいと思っていました。
――第43集について「ひと区切り」とされていますが、今後、続編など描く予定がありますか?
みつはし 続編は、今のところまったく考えていません。読者の方々の心のなかで、各々の続編を描いてくださいという思いです。私は今はとても自由に、チッチを追いかける詩のようなものを楽しく描いています。
――最後に長年続いた作品とチッチとサリーへの想い、読者へのメッセージをお願いいたします。
みつはし 『小さな恋のものがたり』は、私のライフワークでした。病気の後遺症でうまく絵が描けなくなったとき、神さまから“もうやめてもいいよ”と言われたように思い、サリーが留学するというところで終わりにしました。
この青春マンガは、読者のみなさんの応援と、40年以上も私とともに歩き続けてくださったひとりの編集者の方のおかげで、こんなに長く続けられたのだと思います。チッチとサリーの青春の思い出から、未来へ進む勇気を持ってもらえたら本望です。
チッチはいなくなったわけではなく、私の心の芯に生き続けていてくれます。そのチッチがまた、トントンと私の扉を叩いて、「これからは苦しまないで。締め切りもなくなったのだから、楽しく一緒に遊ぼ」と言っています。扉を開けて、チッチと私と読者の方々とみんなで一緒に遊べたら、楽しいだろうなと思います。いつかまた、あなたとお会いできることを願いつつ……。
発行 学研パブリッシング
発売 学研マーケティング
©チッチとサリーbyみつはしちかこ