キャラクターの行動には必然性を出したい
――「ぽっちゃりマニア」という嗜好を持つイケメン・田上くんのキャラもそうとう画期的です。とはいっても、外見が好みならだれでもいいわけじゃない、そこの部分もしっかり描かれていますね。

ただぽっちゃりしていればいいというのは素人! 田上くんのハートを射止めたのは紬の明るい笑顔。笑顔ってやっぱり大事ですね。
平間 「ぽっちゃりが好き」と公言していることで「残念なやつ」なんて言われていたりする。でも、そういうことを気にせず、自分に正直に生きている子ですね。愛情表現は非常にストレートで、臆面もなくしょっちゅう紬に触りまくっています(笑)。
――『ぽちゃまに』において「触る」は重要なキーワードですよね。ずっととまどっていた紬も「触られてうれしい」という感情を表していますし。


『ぽちゃまに』において触るという行為は単なるイチャイチャではなく重要なコミュニケーション。
平間 ついこの間聞いたんですけど、女の人って抱きしめられると安心して、男性は抱きしめると性的興奮を覚えるんですって。
――なるほど……。
平間 これを知って、自分の描き方は間違ってなかったんだなと。少女マンガではつきあっていくうちに「触れ合う」のは当たり前ですが、私には2人がそうする理由が必要だった。それで、田上の愛情表現がぷにぷに触りまくることにしたんです。
――そして、一方の紬は触られることで、恋のときめきだけでなく肯定感を感じるという構図ができているわけですね。

ある人の言葉で落ち込みかけていた気持ちを田上くんの優しい手が救ってくれた。紬と田上くんの絆がますます深まっていったシーンだ。
平間 このマンガに未熟なところはたくさんまだあるかと思うんですけど、このあたりはうまいことハマってくれたなと思っている部分です。
――2人は今のところキスまでですよね。
平間 少女マンガなので、そこはまあ……(笑)。
――でも、たとえばひざまくらのシーンなども、この2人ならではのイチャイチャ感が楽しめます!

田上くん、その体勢はいけません! ぽっちゃり女子じゃなくてもおなか引っ込めて息止めるしかない。
平間 狙っているわけではなく、キャラクターの性格とシチュエーションをかけあわせていくと自然にこういうシーンが生まれてくるんですよね。
――田上くんはいわゆるオレ様キャラとも違いますよね。「本当はもっと近づきたいのを我慢してる」とハッキリ言っているのも、少女マンガで珍しいタイプでは。

恋愛に奥手で天然な紬のペースに合わせて欲求をセーブする田上くん。そんな彼が時々見せる強引な姿に紬と一緒にドキドキしてしまう!
平間 甘えん坊なんですよね、この子は。
――ツンデレでもないし、デレデレですかね?
平間 年下ってこともありますが見事にデレデレですね。あまり表情を変えないところはツンっぽいけど、本音ダダもれですからね(笑)。