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2月4日は映画監督ジョージ・A・ロメロの誕生日 「流血鬼」を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/02/04


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『藤子・F・不二雄大全集 少年SF短編』第1巻
藤子・F・不二雄 小学館 \1600+税


1940年2月4日は映画監督ジョージ・A・ロメロの誕生日である。
ロメロといえば、ご存じ「ゾンビ映画の父」。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』の初期3部作と、2000年代以降の『ランド・オブ・ザ・デッド』『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』『サバイバル・オブ・ザ・デッド』の新3部作が代表作であり、いま世間に流通している一般的なゾンビ像を作り上げた人物といえる。

そもそもゾンビとは、ブードゥー教の伝承で、屍体を使役する術であった。中国におけるキョンシーとよく似たネクロマンシー(死霊魔術)の一種だったものに、「人を襲う」「噛まれた人もゾンビになる」といったヴァンパイア(吸血鬼)的特性を付与したのは、ロメロの功績である。
つまり、いま全世界的に流行しているゾンビ作品(映画、ドラマ、マンガ、アニメなど)は、すべて「ロメロのフォロワー」と言っても過言ではないのだ。

しかし、この現代ゾンビ像について、ロメロは自身の完全オリジナルではなく、ある小説に影響を受けたとインタビューなどで答えている。
その小説とは、リチャード・マシスンの『アイ・アム・レジェンド』(旧邦題は『吸血鬼』および『地球最後の男』)である。全世界の人間が吸血鬼になり、たったひとり残された主人公に襲いかかってくるストーリーだ。

この作品はこれまで、『地球最後の男』(主演:ヴィンセント・プライス)、『地球最後の男 オメガマン』(主演:チャールトン・ヘストン)、『アイ・アム・レジェンド』(主演:ウィル・スミス)と、3度に渡って映画化されているので、映画版を観たことがある人も多いだろう。

この小説にインスパイアされたのはロメロだけではない。1978年に「週刊少年サンデー」52号に掲載された藤子・F・不二雄「流血鬼」は、舞台を日本(というか藤子F的な日常社会)に置き換え、『アイ・アム・レジェンド』と極めて近いストーリーを展開する。
なにしろ作中で吸血鬼化の原因は「リチャード・マチスン博士」が発見した「マチスン・ウイルス」と説明されるので、『アイ・アム・レジェンド』のオマージュ作品であることがわかる。
ラストの解釈が原作とは異なり、いかにも藤子・F・不二雄らしい締め方になっているので、ぜひとも映画(オススメは最初の『地球最後の男』)と見比べてみてほしい。

ロメロの誕生日、ゾンビ作品を鑑賞するのも趣深いが、「流血鬼」でゾンビのルーツに迫ってみるのもおもしろい。
ちなみに、藤子不二雄Aに「暗闇から石」(初出時のタイトルは「不意打ち」)という短編があるが、これはスティーブン・スピルバーグ監督の映画『激突!』から着想を得た作品。
『激突!』もマシスンの小説が原作であり、時系列的には「暗闇から石」(初出は1973年)のほうが「流血鬼」より先。藤子不二雄は、2人ともマシスン作品が好きだったようだ。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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