何パターンも考えた最終回 小谷さんと山下、2人の終着点は――
――こんなこと真顔でやっちゃうぐらい必死っていう。他人から見たら変なんだけど、現実って案外そういうものだったりしますよね。そのリアリティの拾いかたがうまい。高校生が主人公というのも絶妙だと思うんです。いろんな人とヤっちゃうとか、大人だったらそこまで衝撃じゃない気もするし、無邪気さよりはイヤらしさのほうが勝る気がして。高校生って、まだ人間としては幼くて、経験値も低いから人の気持ちもわからないし、かつ恋愛と性欲をごっちゃにしがちな年頃でもある。そこもうまいなと。
新田 うーん、でも恋愛と性欲をごっちゃにするのは大人でもありませんか? よくないよなーと思いながらも。
――あ、そうかも。学んだつもりでも、結局いくつになっても同じことを繰り返しちゃう。『あそびあい』がアラサー、アラフォー層からも支持されてる理由は、そこかも知れませんね。それにしても、「恋愛ってなに?」みたいなことって本当に答えがないし、どうやって終わるんだろ? と思っていたんですけど、最終回を拝見して、結局なにも解決してないし、答えも出ないし、2人の関係も宙ぶらりんのままで。でも卵の特売って、現実に着地してる感じがこの2人らしいし、最高です。
新田 ありがとうございます。でも、2人の関係にはハッキリ決着つけたつもりで。ラストは何パターンか考えていて、最初の編集長は結婚させろ! と(笑)。私のなかでは、小谷が本当に好きな人を見つけたり、自分が山下みたいな目にあって自分のしてきたことに気付くような展開もあったんですけど、でもまだ高校生だし、ひとつの結果を出すのはイヤだなと思って。
――それぞれ成長というか、変わった部分もあるんだけど、やっぱり根本的には変わってなくて、まだまだ同じようなことを繰り返してゆくんだろうなって想像させる……。切ないけど笑えるし愛おしい。人を好きになるってアホみたいだけどいいなあって、久々に恋愛したくなりました(笑)。
『あそびあい』完結記念サイン会のお知らせ
『あそびあい』3巻の発売を記念して、2015年5月16日(土)14:00より紀伊國屋書店西武渋谷店にて、新田章先生の発売記念サイン会を行ないます。
なんとサイン会では、新田先生に描いていただきたいキャラクターのリクエストも可能とのこと! くわしくはコチラ!
■次回予告
絵描きの父!? エロ漫画家の兄!? 賛否両論を巻き起こした新田先生の作品には個性の強い家族が影響していた!?
取材・構成:井口啓子