今後の展開は?
――気になる今後の展開ですが、どのあたりまで描く予定でしょうか?
城倉 いまボンヤリ思っているのは、手塚が『ブラック・ジャック』の連載を開始するあたりまで。そのあとのことは『ブラック・ジャック創作秘話』を読んでください(笑)。
――自分の知っている時代になると、先ほどおっしゃった「手塚フォークロア」が描けない?
城倉 そうだね、自分のなかでの手塚治虫がリアルなものになっちゃうんで、逆に描けないんですよ。今描いている昭和30年代は、知らないからこそ想像で補完して描ける。
――『チェイサー』では、手塚先生は黒シルエットで、なかなか姿を見せません。
城倉 まあ、生身はダサイ部分もあったと思うんだよね。『ブラック・ジャック創作秘 話』は、「あんなダサイ姿描くのか!」ってくらいにダサイじゃない。ランニング一丁で、ベレー帽を取って、頭は禿げちゃってて、無精ひげも生えてて。あれは今まで誰 も描かなかった像だよね。リアルな姿は絶対に格好悪いし、それに周囲を困らせる人だったと思うよ。でもね、『チェイサー』ではそこに踏み込まない。手塚治虫は、つねに格好いい人なんだ。
――今の若い世代は、手塚伝説を知らない人も多いので、あらためて『チェイサー』の作品内で提示してくれると新鮮な驚きもあるんじゃないでしょうか。
城倉 それは絶対ある。今我々が飯を食えているのは、手塚治虫が土壌を築いてくれたからなんだ。そのことを、漫画家も編集者も、もうちょっとわかっていたほうがいいんじゃないかな、という提言もある。たとえば虫プロで働いていた人にインタビューしても、当時は必死でやっていたから、自分たちがどれだけすごいことをやっていたのかピンときていなかったような印象がある。誰もわかっていないんじゃないか? 俺がいちばん手塚のすごさをわかっているんじゃないか!?(笑)。総合的に資料などをアレコレ見ていると、そんな気分になってくる。でもね、資料や証言を元に外部から見たら「なんじゃコレ!」なんですよ、手塚がやっていたことは。その「なんじゃコレ!」って思うようなことを、再現していきたい。
――かっこいい手塚治虫の姿に期待しています。
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【インタビュー】天才の頭の中ってどうなってんだ!? 『チェイサー』コージィ城倉【前編】
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取材・構成:加山竜司
撮影:辺見真也