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【インタビュー】 ファミレスで友だちと「脳みその表面会話」! 『虹の娘』『あれがいいこれがいい』 いがわうみこ 【前編】

2014/06/02


女の子っぽいキャラクターを描くのが好き

――「あれがいいこれがいい」のなかで、お気に入りのキャラは?

いがわ ぷりんと伊尾杏奈かな。女の子っぽい子、きっちりお化粧してるような子を描くのが好きなんですよ。

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――ぷりんはばっちりメイク、杏奈は男子ウケしそうな控えめメイクですね。

いがわ 顔を描くのが楽しいです。まつげは1本1本ていねいに描きますね。きれいな女の人を描く時は新しいペンを使って……男は古いペンでいいかな、と(笑)。

――ヒロインのスイは造形的には美人だけど、おしゃれには無頓着なキャラとして描かれていますね。そこはパーソナリティを表わすうえで、必要な要素だとは思いますが。

いがわ 無頓着すぎるとあまり描く気がしなくなっちゃうんですけれどね(笑)。あ、これはあくまで、絵を描く上での話です。キャラクターは……全員好きです。順位はつけられないですね。

――杏奈のように女子に嫌われるタイプのキャラを描いても、悪役という描き方はされてないし。どのキャラにも個々の生き方があり、尊重され、作者に愛されている感じがします。

いがわ もちろん、みんながみんなうまくいくとは限らないんですけど……それでも何かしら、どの人にも救いを作ってあげたいと思って描いています。

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――いわゆるハッピーエンドではなくても、後味がいい収め方をしていますよね。

いがわ 『あれがいいこれがいい』の最初の2話(「あれがいい」と「これがいい」)が、ギリギリのラインかな。もともとこの2話は前後編として発表したんですが、思い返すと、自分がキツいくらい感情を込めて描いていました。続きを描くと決まった時に、それならハッピーエンドに持っていきたいと思って。

――キャラにかなり感情移入しながら描くほうなのですか?

いがわ あ、そうでもない……かな。ふだんはもっと、ふんわり描いてると思います。

「愛され洋輔」には例外的にモデルがいます

――短編集『虹の娘』には、デビュー作「アヒルにホッチキス」が収録されています。これも表と裏の顔が激しい主人公でありながら、短いページ数のなかでしっかりそのかわいらしさが伝わってきます。

いがわ 何度もボツネームを積み上げていた時期、わりにパッと描いた作品です。でも、これがおもしろかったと言ってもらえて、感じをつかめたと思います。 「あ、自分はこういう感じで描いていけばいいのか」と。がんばって突飛にするより、設定は普通でも、ちょびっと心に引っかかるようなのがいいのかなと、この時、思いました。

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――嫌なところもあるけど、ヌケてるところもあって笑える、だから憎めないキャラクターが魅力的です。「愛され洋輔」の洋輔が人気なのも、まさにそこですよね!?

いがわ 洋輔、なぜか人気があるんですよね。そんなにウケるとは思ってなかったです。ギャグに徹してるからですかね。

――ギャグといえばギャグですけど、キャラの天然さを描写しきったからこそのおもしろさですよ。ナルシストでKYの痛いキャラですが、スキがあってかわいい(笑)。だから登場人物の女の子たちも放っておけないんでしょうね。

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いがわ じつは例外的に……洋輔にはモデルが実在するんですよね。

――えっ、やっぱりお友だち……ですか?

いがわ はい。ビジュアルは全然違いますよ。わりと小さなころから知ってるんで、どうも判断がつかないんですけど、本人は自分で自分のことをイケメンって言ってましたけどね(笑)。

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――まさに作中の女の子と洋輔の関係みたいな感じ? ダメなヤツだなぁ……と思いはしても、友だちづきあいは続けちゃうような。

いがわ そうですね。間違っても恋愛の対象にはなりません! でも、マンガの洋輔はかなりデフォルメしておもしろくしてますからね。実際のモデルのほうは……あまり笑えないかも(笑)。

――マンガのキャラクターのモデルにしたことは知らせてないんですか?

いがわ 最近は会ってないので。私が漫画家になったことすら知らないんじゃないかな。(漫画家になったと知ったら)タカってきそうなので、そのまま知らせずにしておきます!(笑)

――表題作の「虹の娘」は、「アヒルにホッチキス」や「愛され洋輔」とは違った表情のお話ですね。

いがわ こういう少し暗さのある話、好きなんですよ。なので、これをタイトルに選んだんです。ギャグっぽかったり、明るい話のほうが、読者人気はあるとは思ったんですが。

――人の内面、人の気持ちが触れあう瞬間を絶妙に切りとる、という持ち味は、明るい話にもちょっとシリアスな話にも共通していると思います。ところで、この短編集、収録作品の流れがすごくいいですよね。

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いがわ 収録の順番はすごく考えました。

――冒頭からユーモラスな話が続いて「愛され洋輔」でピークになり、中盤で心がざわっとする感じに。「虹の娘」でハッとして、ラストの「アマネの日記」は笑いもありつつグッとくる……いい読後感です!

いがわ ありがとうございます。漠然と、そんなイメージを持って組み立てました。

後編へ続く

  • [注3]洋輔 「愛され洋輔」(『虹の娘』収録)に登場する、ルックスはいいものの、ほかの部分が残念すぎるキャラクター。本誌『このマンガがすごい!2014』の企画記事「このキャラクターがすごい!」でも紹介。

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