最新第4巻はここに注目!
――デビュー前は、「描きたいことがわからない」と思っていたところに、「細胞の擬人化」というアイデアが入ってきて、それが作品になりました。連載を続けている今では、ご自分のなかでこの作品でやりたいことも出てきていると思うんですよ。そのあたりはどうでしょう?
清水 いろいろなキャラを描いていて思ったのは、白血球とかキラーT細胞とかは見え方によっては悪いやつに見えたりもするんですけれども、白血球は無口で赤血球に対してもぶっきらぼうで、キラーT細胞は乱暴だったり、言葉づかいが汚かったり、ほかのキャラに意地悪とかするんですけど、それは別にいけないこととして作品のなかで描くんじゃなくって、このキャラはこういう性格なんだから、こいつはこいつなんだからいいじゃん、みたいなことをやれたらいいな、と思っています。
――『はたらく細胞』って、キャラ同士が無理やり仲よくしている感じはしないですよね。
清水 ありがとうございます。
――何か意識していることはありますか?
清水 小学生からお手紙をもらったことがあって、それがすごくうれしかったんですけど、子どもが読むことを前提に描く場合に、これだけはやっちゃいけないと思ったのが、「こういう悪いやつはいてはいけない」と作品のなかでやっちゃうのがダメなんだと思いました。
――みんな違って、それぞれに役割がある。
清水 そうですね。赤血球は仕事のできない子なんですけど、仕事のできない子はできない子で全然いいよ、っていうふうにしています。がん細胞は自分がこの世界にいてはいけないとされていることにすごく怒っていたりとか。
――調べれば調べるほど、なんで人間の体ってこんなにいろいろな細胞がいて、機能があるんだろうって不思議になりません?
清水 なりますよね。司令官までいるんだ、って思いました。
――気になる今後の展開についてですが、11月30日発売の4巻の見どころをお聞かせください。
清水 4巻は前後編の話もあります。1話完結型だった3巻までとは、また少し違ったテイストになると思います。
――じゃあ、今までより少し長めのストーリーのものも楽しめる、と。
清水 そうですね。あと、見開きでキャラクターがワサーッと出てくるところがあるんですけど、一人ひとりのキャラの動きを一生懸命描きました。
――描くのたいへんだと思いますが、ワーッとたくさんいるほうが細胞っぽい雰囲気が出ますもんね。
清水 そうですね。暇な時に眺めていただけるとうれしいです。
――清水茜先生、本日はありがとうございました!
取材・構成:加山竜司