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【インタビュー】大きな女の子とコタツでなにする?  『富士山さんは思春期』 オジロマコト 先生 【後編】

2014/06/09


「思春期」を供養している。

 ――牧央と上場は中学2年生で、タイトルに『富士山さんは思春期』とあるように、思春期がテーマとなっています。 以前「ヤングマガジン」(講談社)で連載していた『カテキン』[注12]も、主人公は中2でした。「思春期を描きたい」という思い入れがあるのでしょうか?

 オジロ 思春期がいちばん興味があるというか、自信を持って描けるのがこれくらいの時期の話なんです。 『カテキン』が終わったあとに、もう少し年齢設定を上げた作品、 OLものとかのネームも描いてみたんですけど、なかなかうまくいかない。それで思春期に戻ってきちゃうんですよね。

――そうなるとご自身の思春期がどうだったのか、かなり気になりますが。

オジロ このマンガみたいに素敵なエピソードは全然なかった。なかったからこそ描ける、という感じです(笑)。

――そこは想像で?

オジロ 想像と、あと周りをよく観察してました。付き合っている子同士が、 着ているジャージの上着を交換したりしているんですよね。

――あ、通学途中の電車などで見かけます。あれちょっとエロいですよね。

オジロ そういうのをよく見てました。

――当時の人間観察が作品に役立っていると。

オジロ 中学までは共学だったので、よく周囲を観察してました。 自分の周りにいたおもしろい子とかを思い出しながら描いています。

――大人になって振り返ると、いわゆる“中二病”[注13]じゃないですが、 「やっちまった!」って思い返すこともありますよね。

オジロ 私の場合、自分から何かアクションを起こすほうではなかったので、 「やっちまった!」感はないんです。男の子と付き合うようなこともなかったし。 どちらかというと地味な学生生活でした。 だから、ある意味では、報われなかった中学時代を供養するような……。

――思春期の自分を供養!

オジロ そんな感じです(笑)

――周囲を客観的に観察していた印象がありますね。中学生のころ、同年代の男子は幼く見えました?

オジロ どうなんだろう。女の子よりは……ですね。

――マンガで思春期の子を出す場合、どうかすると大人として描きそうになったりしませんか?

オジロ そうですね、気をつけないとそうなってしまいます。

担当 3巻の第26話で、富士山さんが手を怪我して、上場がなぐさめるシーンがありますよね。 あそこで上場をアワアワさせたのは、オジロ先生からの提案でした。    

泣き出してしまった牧央を前に、焦りまくる上場。

泣き出してしまった牧央を前に、焦りまくる上場。


――シャツの裾をハンカチがわりに出したり、かなり焦ってますね。

担当 打ち合わせの段階では、富士山さんが泣いたら(P.172)、 すぐ上場がなぐさめるという風に話していましたから、 P.172のあとにもう上場が頭をなでてヨシヨシするシーンがくるような構想ですね。

オジロ でも、そこで私が「中学2年の男子なんてまだ子どもだから、大人みたいにスマートになぐさめられない。 絶対アワアワするはず」といって、P.173から175のシーンを付け加えることになったんです。

ネームの段階で、アワアワする上場が追加された。

ネームの段階で、アワアワする上場が追加された。


――なかなか進展しないふたりを見ていると、応援したくなりますね。

オジロ 読者の方からそういった感想をよくいただきます。 最初のころは「上場、いらない」って反応もあったんですけどね(笑)

――この先ふたりは、どこまで行くんでしょうか?

オジロ 先の展開は、実はまったく考えてないんです。その回が終わったときに、さあ次はどうしよう、と。毎回、打ち合わせで「キスまではいくのかな?」って話はするんですけど、なかなかいきませんね。

――それどころか、手をつなぐこともままならない状況です。

担当 中学生だからこそ、ですよね。 今の上場と富士山さんは、手をつなぎたいとか、イチャつきたいとか、そういうことは思っても、 自分たちがいつかセックスするかもという発想がない。

 オジロ そのギリのラインが中2なのかな、って思います。

――上場だけでなく富士山さんのほうにもイチャつきたいとか、欲が感じられますよね。

オジロ そうですね。男の子だけじゃなくて、女の子にも、そういうものに興味はありますからね。

今後の展開

――先ほど、今後の話をまったく決めていないとおっしゃっていました。 では、上場くんと富士山さんのふたりに、どうなってほしいですか?

オジロ うーん、たとえば将来ふたりが結婚する……ってのは、なんか違うような気がしますね。

――というのは?

オジロ 中学生の恋愛って、わりと簡単に付き合ったりしません? なんとなく告白されたので、そんなに好きじゃないけど、とりあえず付き合ってみるかな、くらいに。 それでいてすぐに別れたり。

―― 一般的にはそうですね。

オジロ デートの待ち合わせがうまくいなかったり、段取りが悪かったり、 たったそれだけのことで別れたりする。潔癖というか、それまでいいと思っていたものが、 急によくなくなる瞬間があったりします。

――そもそも「なぜ富士山さんは上場の告白をOKしたのかわからない」という読者の反応もあるようです。

オジロ もしかしたら、何かあるかもしれない。でも、そんな劇的じゃないと思いますよ。中学生ですから。

――たとえば周りの友だちに、付き合っていることがバレたりしたら?

オジロ ああ、上場と富士山さんの関係性は、壊れちゃうかもしれないですね。まだわからないですけど。 とりあえずこの先の目標は……コタツ? 高度かもしれませんが。

担当 作品内での季節が冬に向かっているので、コタツで何かさせたいなぁ、という話をしているだけです(笑)。

 オジロ 冬をこえて、ふたりが3年生になるイメージすら今はまだないです。 そんなどうなるかわからない中2のふたりなので、暖かく見守っていただければ、と思います。

  • [注12]『カテキン』 オジロマコトによるマンガ作品。「週刊ヤングマガジン」(講談社)にて、2006年から2008年にかけて連載された。学業優秀な主人公・白井幸が、家庭教師の大学生・茶畑ナナの自由奔放な行動に振り回される、ちょっぴりH(?)な日常を描いた青春コメディ。
  • [注13]中二病 TBSラジオ『伊集院光のUP'S 深夜の馬鹿力』(現在は『月曜JUNK 伊集院光の深夜の馬鹿力』のコーナー発祥の造語。現在では「思春期に起こしがちな行動」を揶揄する言葉として用いられるのが一般的。ちなみにオジロ先生も、作画作業中に同番組をよく聴いているとのこと。

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