人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、漫画家・一二三先生とお笑い芸人・流れ星さん!
全国各都道府県を守る「ご当地神」たちが日本の首都の座をめぐって壮絶な戦いを繰り広げる――。
バトルのキーとなる武器が砂やしじみといった地元の名物だったり、人口の減少により崩壊の危機に直面する消滅可能性都市が負けた県を統合していったり、シュールながらも「あるある」と思わずうなずきたくなる、リアリティあふれる設定で話題沸騰中の都道府県擬人化バトルマンガ『四十七大戦』。
今回、そのコミックス第1巻発売を記念して、なんと著者の一二三先生とお笑いコンビ・流れ星のちゅうえいさんと瀧上伸一郎さんとのスペシャル対談が実現!
どうやら流れ星さんには、全国の大使が集い大使一を決める「大使一武闘会」という漫才のネタがあるようで、お互いのアイデアが近いことに気づいた双方が、徹底討論!?
ジャンルの垣根を超えて繋がった一二三先生と、流れ星・ちゅうえいさんと瀧上さんに、『四十七大戦』の魅力や見どころ、そして流れ星さんの地元・岐阜戦のアイデアについて語っていただきました!
『四十七大戦』の特設サイトにて、第1巻発売を記念したPVも公開中!
特設サイトはコチラから!
思わずパクりたくなっちゃう!?
お互いのマンガ、ネタで魅力的な都道府県アイデア!
――一二三先生と流れ星さんの出会いについては、瀧上さんがファンからの報告で『四十七大戦』を読んで、昨年の行った流れ星さんのライブの漫才の「大使一武闘会」というネタに似ていると気づいて、ブログに書かれたのがきっかけだったそうですが、まず読まれた時の感想は?
瀧上(流れ星) 最初は正直、「パクられた!」って思いました。でもその直後に「あれ、もしかしてオレらが無意識にパクったのかな?」って(笑)。で、調べたらお互いほぼ同時期につくってたので、これも何かの縁かなって思いまして、とりあえずブログに書いてみたら、すぐに編集の方が連絡をくださって……。
ちゅうえい(流れ星) 瀧上が『四十七大戦』を見つけた時、すぐに僕にも教えてくれたんですけど、テンパリすぎてて第一声が「オレらの『大使一武闘会』のネタ、マンガになった!!」って(笑)。
瀧上 「もしかして、一二三先生は流れ星のファンなのかな?」とも思ったんですが……違いましたよね……?
一二三 すいません、じつはお笑いに疎くて……! 私もマンガではすでに都道府県ネタの作品がいくつかあると聞 いていたので、ネタが被っているといわれそうだとは思っていたんですけど、まさかお笑いとシンクロするとは想定してなかったので「マジか!?」って。ギャグの部分では完全に勝ち目がないので、あっちのほうがおもしろいってネットで噂になったらヤバイって思いました……。
ちゅうえい いやいや、そこはまた土俵が違いますからね。
――逆に「相手のファンを取りこめるぞ!」みたいな感じは?
瀧上 それはたぶん、お互いどっかで感じたので歩み寄って、そして今日に至った感じですよね(笑)。
一二三 やっぱり、流れ星さんの客層にうまくアピールできたらうれしいですけどね。
ちゅうえい どうします? お互いきれいにファンが入れ替わったら?
瀧上 びっくりするわ!(笑) でも、僕らのネタがそもそもマンガに影響を受けていて、少年マンガっぽい展開とか意識してるところもあるし、ネタをやってても、“あのマンガの、あのシーン”みたいな感じでやってるので、いい相互関係ができたらうれしいですよね。
一二三 私も新人の頃、編集の方から、「ギャグを描くにはお笑いのDVDとか見て勉強しなさい」っていわれてたんですけど、いろんなエンターテインメントの要素が、短いなかにうまく盛りこまれてて、お客さんをパッと笑わせられる「お笑い」ってすごいなと思います。ただ、同じバトルもので最強を目指すにしても、『四十七大戦』はバトルロワイヤルもので、流れ星さんの場合は昔からある王道のバトルものの踏襲なので、カラーは若干違うんですよね。
ちゅうえい オレらは『キン肉マン』とか『ドラゴンボール』とかトーナメント制しか知らないので、すんません……。
瀧上 名産品で闘うというのも同じなんですけど、唯一「あっ」と思ったのは、ダメージ=人口が減るところ。あれは地方の人間にはリアルで……パクろうって思いました(笑)。
一二三 逆に私が「流れ星さんにやられた!」と思ったのは、「魅力度ランキング1位を倒す」っていう設定です。魅力度ランキング[注1]は、すっかり忘れていたので「しまった!!」って思いました(笑)。
瀧上 でも『四十七大戦』はキャラクターとかゲームのルールとか、かなり細かい部分まで決めているのがすごいですよね。漫才はどっか勢いで、“おもしろかったらいい”というノリはあるんですけど、マンガはそれだとアラが出ちゃうし。「こいつはこの必殺技で、こいつはこいつより強くて」……って、ゲーム開発者みたいに細かなプログラミングをしたうえで、マンガをスタートされたんだろうなって。
一二三 そうですね。書いてる過程で変わっていく部分もあるんですけど、やっぱり基本設定は決めこまないとブレるし、ゲームも好きなのでそこは楽しんでやりました。
――「ご当地神」というアイデアはどこから?
一二三 都道府県擬人化のバトルものをやりたいというのは最初にあって、ゆるキャラ選手権みたいに、その県の守り神様が闘えば、おもしろいなって。
瀧上 県神さまは、みんな若い男性なんですか?
一二三 いや、それはいろいろ出る予定です。
ちゅうえい 年配とか東北のイメージあるなあ。
瀧上 どんなキャラが出てくるのか、妄想が膨らみますねえ。
- 注1 魅力度ランキング 株式会社ブランド総合研究所が実施している「地域ブランド調査」に基づき、都道府県のブランド力を評価した指標を魅力度としてランキングしたもの。ちなみに2016年度1位は北海道。そして鳥取と岐阜は同率42位。