後半戦は官能度がさらにアップ、「堪忍して~」の雨あられ。タコの足をディルドがわりにする欲求不満妻の話「肉吸盤(にくいぼ)」、屋形船で人妻が犯される「痴戯船-みだらぶね-」、江戸時代に覗き部屋が存在した(!?)「夢乃壺 みだら汁」など、シチュエーションありきの淫欲譚が繰り出される。マジメにストーリーを追っていると、「えっ、こんなオチ!?」と、思わず笑ってしまうエピソードも。
それにしても、ケン月影の描く女性は本当に美しい。ほどよい肉づきで濡れた瞳の訳アリ美女が、これでもか、これでもかとエロティックな曲線で描写される。特にお尻の表情に力を入れる点に注目してほしい。着物姿で歩いている美女のキュッキュと鳴く巨尻や布団の上でブルブルと躍動する巨尻がド迫力で描かれる。
セリフのセンスにもドギモを抜かれること多数。個人的には「水だくさんの二枚貝」と「女陰の面相はゾクッとする艶花」「おかみさんの蛸壺、もぐり心地がよさそうだ」の3つが大好きです。セクシーなんて軽い言葉がぶっとぶ濃厚な肉欲の世界を、ぜひともご賞味いただきたい。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。びくびくしながら夜中に雑誌の自販機でエロトピアを買っていた昭和の中坊です。