男の子ならだれもが一度は憧れてしまうクラシックな論理だ。だが、もう素手喧嘩(ステゴロ)の強さを誇る時代ではない。新しい時代を生きる見立田からすれば、「やっぱ使えねーなアイツ…」という扱いであった。
そんな哀しいポジションの金山だったが、新宿一蘭会の武井と喧嘩をした数日後、覆面を被った集団に襲われて、意識不明の重体に陥ってしまい……。
はたして金山を襲った集団の正体は何者なのか。金山の後輩であり関東連合と因縁の深い鬼村兄弟、先日揉めたばかりの一蘭会の武井か、それとも……。
見つからない犯人、復讐に対する仲間内での温度差、鬼村兄弟との抗争を煽るケツ持ちのエビハラ……この事件をきっかけに、順調に見えた最強の半グレ集団、関東連合の歯車が狂い始めていく……。
原作者の柴田大輔は、第1巻のインタビューで、多くのヤンキーマンガを読んできたと語っている。たしかに本作品にそういったマンガが放つ独特の空気というものは存在する。だが、その一方で、その手のマンガにあった友情や絆、あるいは仲間内での仁義だったりするようなものはまったく感じさせない。さらに、物語の冒頭で描かれているように、この後の彼らはクラブでの殺人事件を引き起こすことが確定している。
元関東連合のメンバーである作者が、この先の運命をどのようにして描いていくのか。待っているのはただの陰惨な結末か、それとも破滅の美学か。登場人物が突き進む物語の先をぜひ見守っていきたい。
<文・犬紳士>
養蜂家。好きな野鳥はメジロ。
Twitter:@gentledog