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【17年越しの謎解明】『HUNTER×HUNTER』クラピカの人差し指の能力がついに判明!33巻に伏線も⁉【B級ニュース】

2017/07/04


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「1年半ぶりに『HUNTER×HUNTER』連載再開!」について。


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『HUNTER×HUNTER』 第33巻
冨樫義博 集英社 ¥400+税
(2016年6月3日発売)

先週のマンガ界における最大のニュースといえば、集英社「週刊少年ジャンプ」誌上にて『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)の連載が再開されたことだろう。
およそ1年半ぶりとなるリスタートに、同作のファンたちが賞賛の声をあげたのである。
現在『HUNTER×HUNTER』は「暗黒大陸編」が進行中だ。
暗黒大陸への進出を目論むカキン帝国の国王は、暗黒大陸への旅の途中で王位継承戦を開催することを発表。各勢力の思惑が交錯するなか、ハンターたちもこの旅に巻きこまれていく。
連載中断前の展開としては、王位継承候補のひとり・ワプルの護衛が暴走し、クラピカと戦闘を繰り広げている最中であった。

さて、この連載再開の何が話題になったかというと、それはクラピカの能力だ。
クラピカの念能力は鎖を具現化する能力であり、右手の指1本ずつにそれぞれ異なる性質を有している。これまで親指、中指、薬指、小指の能力は判明していたが、今回の連載再開では人差し指の能力が明らかにされた。
クラピカが念能力を発現するようになったのは「ヨークシンシティ編」からであり、初出からおよそ17年目にして、ようやく全能力が解明されたことになる。
17年!
なにしろクラピカは「GI編」「キメラアント編」ではほとんど出番がなかっただけに、クラピカが大フィーチャーされる展開にクラピカファンたちが大喜びしたわけだ。

さて、人差し指に注目が集まっているところだが、人差し指を他人に向けるのは、けっしてマナーのいい行動ではない。
向けた先の相手に直言したり、悪意を示したりするものだ。
いわば人差し指は「自分の意思を代弁する指」ともいえるだろう。
言い換えるなら、マンガにおいてキャラクターが人差し指を突き立てる表現をしていたら、そこには作中の強いメッセージが内包されていると見ていい。
この指は、「やさしいママ」(お母さん指)ではないッ!
やさしくお話ししてくれるようなたぐいではないのだッ!!
思い返せば、同じく冨樫先生の作品『幽☆遊☆白書』の主人公・浦飯幽助の得意技「霊丸(レイガン)」も人差し指から放出するものだった。
つまり、キャラが人差し指を突き立てたら、そこがマンガのハイライトなのだ。
といったわけで今回は「マンガにおける人差し指表現」を特集する。
まあまあまあまあホホホホホッ!!!!

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『講談社文庫 ブッダ』 第2巻
手塚治虫 講談社 ¥900+税
(2011年2月10日発売)

人差し指のプロフェッショナルといえば、お釈迦様しかいない。
なにしろこの世に生を受けた瞬間に、天上と天下を指さして「天上天下唯我独尊」と発したというから、人差し指表現界におけるトップ・オブ・トップは間違いなくブッダだ。
そんなブッダの生涯を描いた作品が『ブッダ』(手塚治虫)である。
ゴータマ・シッダルタ(ブッダ)の生涯を描いているが、もともと『火の鳥』を連載していた「COM」が休刊した際に、『火の鳥』の「東洋編」として企画された作品でもあるため、仏教の教義を解説するような入門書や伝記ではなく、エンターテインメント色の強い作品となっている。
本作では、ブッダがなかなか出てこない。
ブッダ誕生までの社会的背景を、仏教説話のエピソードを絡めつつ展開していくので、講談社漫画文庫版でいえば第2巻までブッダは生まれてこない。
これは難産だ。
ちなみに『聖おにいさん』で立川に暮らしているブッダさんは、「ブッダの誕生日、日本でスルーされすぎ問題」を提起している。
みなさん、ブッダの誕生日はご存じですか?

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『キン肉マン』 第18巻
ゆでたまご 集英社 ¥400+税
(2013年6月6日発売)

人差し指は自己アピールにも用いられる。
プロレスラーのハルク・ホーガンはリング上でのパフォーマンスをするときに、人差し指を突き立てて「イチバーン!」と叫んだものだ。そのためホーガンをモデルにした『キン肉マン』(ゆでたまご)のネプチューンマン、『やっぱ! アホーガンよ』(柴山みのる)のアホーガンも同様のポーズを取る。
なお、プロレスには、人差し指と親指でピストルのかたちをつくる「シュートサイン」というものがある。これは「ガチンコ(真剣勝負)でやっちまえ」の意味だが、『キン肉マンⅡ世』においては別の意味を持たせているところが興味深い。
『キン肉マン』世界におけるシュートサインとは、試合の立会人が、技のかかり具合を示すものだ。超人オリンピック決勝で、キン肉万太郎とケビンマスクが対決したとき、ケビンが必殺技OLAPを披露すると、試合立会人のラーメンマンとペンタゴンがシュートサインを出し、「技が脱出不可能なくらいパーフェクトに極まっている」ことを、観客にわかりやすく示してくれた。
やはり人差し指は、なにかを表現するのに適した指なのだ。

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『中公文庫コミック版 笑ゥせぇるすまん』 第1巻
藤子不二雄A 中央公論社 ¥648+税
(1999年2月18日発売)

相手に人差し指を向けるのはマナーに反する行為だが、あえてそれをすることで、相手を追いつめる効果もある。
代表的なのは『笑ゥせぇるすまん』(藤子不二雄A)の喪黒福造だ。喪黒福造は他人の願望をかなえてくれるが、そこでかならず制約をもうける。約束だったり、忠告だったりするのだが、登場人物がその制約を破ったとき、どこからともなく喪黒福造は姿を現し、人差し指を相手の鼻先に突き立て、「ドーン!」と叫んで代償を負わせるのだ。

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『地獄の子守唄』
日野日出志 アース出版局 ¥1,553+税
(1995年12月発売)

この「相手を追いつめる」人差し指表現のエクストリーム進化形は、追いつめる対象を作中キャラクターではなく、読者にしている。
それが『地獄の子守唄』(日野日出志)だ。
主人公は「日野日出志」を名乗る自称“まんが家”。 「にくい人間を殺したいと思うだけで殺すことができる」という特殊能力の持ち主で、これまで自分の怨念で親やライバルなどを殺してきたと、暗黒の半生を語る。
そして物語の最後には、読者を指差して、「そしてこんどは…………」「きみが死ぬ番だ!」と叫ぶ。読者に向かって「死ね 死ね! おちろ おちろ!!」「地獄の底へおちろ! おちてしまえ!!」と叫んで終わる衝撃のエンディングは、当時の読者に強烈なトラウマを植えつけた。
本作は『このマンガがすごい! comics この「ホラーマンガ」が怖い!』に収録されているので、日本中の子どもたちを震えあがらせた恐怖の人差し指体験を、あなたにも味わってほしい。
地獄へおちろ!

このように人差し指にはさまざまな効能があるが、いずれも「意思の力」を体現するものであるとわかる。
そのことをふまえて、クラピカの人差し指にどのような能力が備わっていたのかを、今一度確認してみるとおもしろいはずだ。
いずれにせよ、毎週月曜日に『HUNTER×HUNTER』のある生活が戻ってきた。好きなマンガを読める幸せを、十二分に感じていきたいところだ。
毎週月曜日に「週刊少年ジャンプ」を買ったら、まずは目次ページを開き、人差し指で、『HUNTER×HUNTER』の掲載を指差し確認していこうではないか。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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