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美内すずえがTwitterを開始! 「おそろしいSNSっ!」デビュー!!【B級ニュース】

2017/08/02


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「美内すずえTwitter開始!」について。


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『「ガラスの仮面」名台詞カルタ CD付き』
美内すずえ(監修) 白泉社 ¥2,000+税
(2012年10月5日発売)

大ニュースだッ!!
『ガラスの仮面』『アマテラス』の著者でおなじみの美内すずえ先生が、なんとTwitter(@miuchibell)を始めたぞッ!!
なにしろ『ガラスの仮面』は今年40周年なので、関連イベントが目白押しだ。
昨年、アニメが放映されたスピンアウト作『3ねんDぐみ ガラスの仮面』が横浜市のDMM VR THEATERにて3Dのバーチャル舞台になったり、大阪・梅田の阪急うめだ本店では「白目パフェ・・・!」や「北島マヤまさかの泥?スムージー」など独特すぎるメニューで話題のコラボカフェが期間限定オープンしたり、さらには8月23日から東京・松屋銀座で「連載40周年記念 ガラスの仮面展」の開催が予定されている。
アニバーサリーイヤーを盛り上げるために、美内先生ご自身もひと肌脱いだわけである。

40周年を迎える『ガラスの仮面』は、いまさら説明するまでもなく、演劇を題材にした作品だ。主人公の北島マヤが演技の才能に目覚め、様々な役どころに挑んでいく。
「ウォーター!」の『奇跡の人』や、月影先生をして「おそろしい子!」といわしめた『椿姫』など、作中には様々な演目が出てくるのも本作の特徴。
『紅天女』は、世界一有名なオリジナル劇中劇といっても過言ではないはずだ。
そう、演劇マンガの場合は作中でどのような演目を題材にするのかも注目ポイントとなる。
そこで今回は、演劇マンガにおける劇中劇を特集する。
真澄さま、いつまでも信号は赤ではありませんよッ!

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『累 -かさね-』 第1巻
松浦だるま 講談社 ¥571+税
(2013年10月23日発売)

『累 -かさね-』(松浦だるま)は、醜い顔をした少女・淵累が主人公の演劇マンガ。
亡くなった母は「伝説の女優」だったが、自分は似ても似つかない容姿に生まれ、そのことにコンプレックスを感じていた。しかし累は、母の遺品である口紅を塗り、口づけをすると、相手の顔を奪えることを知る。奪った他人の顔で舞台にあがると、生来持った演技力の高さを活かし、舞台上で喝采を浴びる快感を味わうのであった。

累が初めて口紅の能力を知ったときに題材となる演目は「シンデレラ」。
いじめられていた少女が“魔法”によって脚光を浴びるストーリーが、累の生い立ちと重ねあわせられている。このように本作では、作品のテーマと演目を一致させる手法が取られており、その後も『サロメ』や『マクベス』など、累の内面にフォーカスを当てるような演目が題材となっていく。
他人の顔を奪い、その人に成りかわっていくというピカレスク的な内容でありながら、しかし累の演劇に対する純粋な情熱が並列で描かれていくところがおもしろい。

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『青い花』 第1巻
志村貴子 太田出版 ¥952+税
(2005年12月15日発売)

2009年にはテレビアニメ化もされた『青い花』(志村貴子)は、女子校を舞台にした群像劇だ。

松岡女子高等学校に通う万丈目ふみと、藤が谷女学院高等部に通う奥平あきらは幼なじみ。ふみの引っ越しで疎遠になっていたが、ふみの高校入学を機に10年ぶりに再会する。
2人の主人公を中心に、女性同士の恋愛や友情が描かれていく。
ふみとあきらは、それぞれ別の学校で演劇部に関わることになる。そして、あきらが2年のときに藤が谷の演劇祭でやったのが『鹿鳴館』。原作は三島由紀夫の戯曲だ。
あきらの友人・井汲京子の幼少期の思い出と、彼女の演じる朝子(影山伯爵夫人)の役どころがオーバーラップする。なお、各話のサブタイトルが文芸作品からの引用になっているところも注目ポイントだ。

ちなみに、著者の志村貴子が現在連載中の『淡島百景』は、ミュージカルスターに憧れて淡島歌劇学校に入学した少女の物語。
1話ごとに主役が変わるオムニバス形式の群像劇で、『青い花』に登場したキャラクターの外伝的なストーリーもあるので、こちらの併読もオススメしたい。

妖鬼妃伝カバー

『このマンガがすごい!comics 妖鬼妃伝 美内すずえセレクション 黒の書』
美内すずえ 宝島社 ¥1,500+税
(2017年8月12日発売)

『ひばり鳴く朝』(美内すずえ)は、監禁された少女エリの物語だ。
両親を交通事故で亡くしたエリは、マッドサイエンティストのリード博士に引き取られ、実験室に閉じ込められてしまう。そしてリード博士は、外界から遮断された閉鎖空間で育った人間(=エリ)がどのような成長をするのかを観察するのであった。
11年以上の長きにわたって閉じ込められていたエリは、スプーンの使い方を知らなければ、服の着方もわからない。まるで犬のようでもあり、動物のようでもある。
リード博士の娘婿のテレニスはエリと交流を図ることになり、その第一歩は“餌づけ”なのだが……。

この作品自体はSF短編なので、劇中劇は出てこない。しかし「動物のような少女を育てる」というストーリー展開は、美内ファンなら記憶にないだろうか?
そう、『ガラスの仮面』の作中に出てくる劇中劇『忘れられた荒野』である。北島マヤは狼に育てられた少女の役を熱演し、この舞台の成功でマヤと“鬼将軍”黒沼龍三のコンビは『紅天女』の主演・演出家候補に選ばれることになる。
『忘れられた荒野』は美内オリジナルの劇中劇だが、1971年の「別冊マーガレット」6月号に掲載された『ひばり鳴く朝』がそのモデルとなった作品なのだ。
『ひばり鳴く朝』は長らく短編集などにも収録されなかった「幻の作品」だったが、このたび8月12日に宝島社から刊行される『このマンガがすごい!comics 妖鬼妃伝 美内すずえセレクション 黒の書』に収録されることになった。 美内ファンならばマストバイの1冊といえるだろう。

なお、『ひばり鳴く朝』が収録されている『このマンガがすごい!comics 妖鬼妃伝 美内すずえセレクション 黒の書』は、「黒の書」と銘打っているように、怪奇物を中心にまとめたアンソロジーだ。
月影先生が「どんなに影が濃くても光がなければ影はできないのですよ…」と語っていたように、この『黒の書』に収められた影の部分も、天性の明るさを持つ北島マヤと同等に、美内作品のたまらない魅力なのだ。
『ガラスの仮面』40周年、美内すずえ画業50周年の今年、奥深き美内作品のトビラを開けてみようッ!



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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