話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』著者のドラゴン画廊・リー先生から、コメントをいただきました!
今回紹介するのは『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』
『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』
ドラゴン画廊・リー(画)鳥山明(原作) 集英社 ¥400+税
(2017年11月2日発売)
流行の転生モノを『ドラゴンボール』の世界でやる……という公式ならではの二次創作『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』(以下『転生ヤムチャ』)。「少年ジャンプ+」では700万以上の閲覧数を誇った話題作の単行本が刊行されると、「このマンガがすごい!WEB」2018年1月度のオトコ編で第1位に輝いた。
作品の概要については日刊マンガガイドでの記事を参照してほしい。
それにしても、なぜ本作はこれほど多くの読者の心をわしづかみにしたのだろうか。
もともと『ドラゴンボール』は、(とりわけ前半部分は)コメディ要素が強く、同じ著者の『Dr.スランプ』のキャラが登場するクロスオーバーなどの“お楽しみ”要素がたっぷりの作品だった。
くわえて近年は、テレビアニメ『ドラゴンボール超』(フジテレビ系列)のストーリー原案に鳥山明が加わり、アニメでも原作のセルフパロディ的なネタが披露されている。「知名度のある作品だからパロディをやる」というよりは、「もともとパロディを受け入れる素地のある作品」だからこそ、企画としてフィットしたと考えるべきだろう。
本作は前編、中編、後編の3編で構成されている。単行本では番外編やおまけマンガも収録されており、さらに各話のあいだに1コマのおまけイラストでは、本編では描かれなかったシーンが描き下ろされている。透明人間スケさん、大猿ベジータ、人造人間20号と、ファンからしても「そこをチョイスするのか!」とうならされるはずだ。パロディになによりも必要な「原作への愛」を、これ以上ないほどに感じられるに違いない。
かつて少年マンガの世界では、パロディがブームになったことがある。『Dr.スランプ』はパロディ特有の「なんでもあり」なパラダイス的楽しさを教えてくれたが、パロディの火が再燃しつつある今、鳥山ワールドが再びかたちを変えてパロディの楽しさを読者に提供してくれているのだ。