多恵は体重を気にしているのだが、猫氏は幸せそうに食べる彼女が好きだと言わんばかりの態度にも愛情があふれている。
「水族館に行きたい」「おいしい肉まんを食べに行きたい」という多恵の提案を笑顔で受けいれてくれるし、猫とはいえ革ジャンの似合う長身おしゃれさんだし……これぞ非の打ちどころがない最高級の恋人では!?
単なる包容力のかたまりではなく、猫らしく無邪気な一面を見せるところも魅力。
そう、これがもし熊だったらキャラとしては全然違う“父君”的なキャラになっているはずで。
多恵のほうも一方的に甘えているわけではない。
ドジッ娘ながらに、彼氏にデートを楽しんでもらおうと一生懸命。猫氏の好きな本を覚えていて続刊を買っておいてあげたり……とにかくお互いを思い合うやさしさに満ちていて、このうえない幸福感が味わえるのだ。
本作に描かれるのはほとんどが2人のデート風景だが、カフェでマンガを熟読する多恵を彼氏がじっと見守っていたり、公園のベンチで眠りこんでしまうことも。こんな時間の過ごし方ができるのは、2人でいればそれだけで幸せだから。
「こんな彼氏がいたらなぁ」と思いながら読み始め、そのうちに「こんな恋人関係を築けたらいいなぁ」と憧れる……”理想の恋人関係”がここにあるのかも。
『オデットODETTE』著者の日当貼先生から、コメントをいただきました!
関連リンク
COMICポラリス:『オデットODETTE』作品ページ
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」