東京・新宿区の北側にある高田馬場は、古くから早稲田大学や戸山高校を近くに擁する学生たちの多い街です。
様々なサブカルグッズやホビーアイテムを取り扱うヴィレッジヴァンガード高田馬場店には、“楽しいもの”を探し求める学生さんが訪れます。
もちろんマンガも取り扱っているヴィレッジヴァンガードさんですが、コミックの仕入はコミック担当に一任されており、コミック担当の坂井舞子さんは、独自の棚作りを目ざしているそうです。
今回はそんなコミック担当スタッフの坂井舞子さんに、比較的巻数の少ないマンガのなかからオススメしたいものを挙げていただきました。
夏休みに、1日1作品ずつ読破! なんてのもいいんじゃないでしょうか?
ヴィレッジヴァンガード高田馬場店がオススメする「5巻以内で完結するマンガ」ベスト3
『星屑ニーナ』 福島聡
『星屑ニーナ』第4巻
福島聡 KADOKAWA \650+税
(2014年1月14日発売)
ロボットの星屑(ほしくず)を中心に展開するお話なんですが、とにかくテンポがいい作品です。1巻で76年もの時間が経過します。
ロボットである星屑は歳をとらないけれど、まわりの人間は老いてゆく。長い時間のなかで彼らの一生が濃厚に描かれているのがすごいと思います。
星屑が見つめてきた、いとしい人間たちの生涯を、ヘビーにというよりはハッピーに描いていて、笑いながらも、泣けてくるという作品になっています。
こちらは全4巻。私が一番お薦めしたいマンガで、たくさんの方に手に取っていただきたい作品です!
『なにかもちがってますか』 鬼頭莫宏
『なにかもちがってますか』第5巻
鬼頭莫宏 講談社 \600+税
(2015年4月7日発売)
これは、鬼頭莫宏版『DEATH NOTE』といったところでしょうか……。平凡な中学生が超能力を手に入れて、それに目をつけた転校生の命令に従って、彼らが世の中の「不正」と思うことを正していこうとする物語です。
主人公を含めて全員が中学生なので、やることも考えることもまだまだ穴だらけで、そこをどうやっていくのか、という話でもあります。
全5巻で完結しています。4巻までは「どうやって終わるんだろう?」とやきもきしながら読んでいたのですが、最終巻でストンと終わりました。
結末も、とってつけたような終わり方ではなく、さすがは鬼頭先生というか、読者が納得がいくような結末が描かれています。最終巻をより楽しむためにも、ぜひ1巻から一気に読んでみてください。
『シティライツ』 大橋裕之
『シティライツ』第3巻
大橋裕之 講談社
(2012年11月22日発売)
自費出版から音楽雑誌での連載を経て「QuickJapan」などで、アーティストにもファンの多い大橋裕之さんの「月刊モーニング・ツー」での連載をまとめたものです。
4~10ページほどのショートストーリーで構成されています。独特のタッチで、ちょっと地味だったり、うまくいっていなかったりする人々の日常生活が淡々と描かれているのを見ると、心が癒されていくというか……まさかこの絵柄に泣かされる日がくるとは、思いもしませんでした(笑)。
全3巻で、何かしらのクライマックスがあるわけではないのですが、しとしと雨の降る日とかに、家でひとりでじっくり読んでほしい作品です。
好きなマンガはたくさんあるんですが、そのなかでも今回、素敵な終わりかたをしたと思える作品を挙げてみました。
夏休みのおともに、一度読んでみていただきたいと思います。