絶望と裏切りの苦甘さを知り、別れと諦観の息苦しさを知る大人の男同士だからこそ、お互いを許しあうようなそのワケあり感満載の2人の関係性がまたいい。
そして、凄惨な過去を持つ者たちの「だからこそお前の存在を赦さない」という激しい憎悪と、他人へ向けられる優しさ、暖かさに戸惑うという感情の”静”と”動”のコントラストがまた、端整な絵柄とも相まってたまらなく魅力的なんだと思う。
第7巻では、今まで対立していた強硬な反トワイライツだったコルシュカファミリーのボス・ウラノスと親トワイラツでトワイライツの父として振る舞っていたモンローファミリーのボス“ガンスリンガー・ダニー”ことダニエルがじつは手を組んでおり、このエルガストルムの均衡が崩れようとしているなか、囚われのコンスタンスを奪還すべく、第二駆逐隊(フタロイ・エスミーニツ)のもとへと向かう現クリスチアーノファミリーの最高幹部・マルコこと、元・第二駆逐隊・スパスの戦いがメインとなっている。
そして、裏の事情を知った怒れるウォリックは、モンローの裏切りの現場を見てしまったことによりヤンを自らの手で撃たされてしまったことで悄然とするデルコに「お前は逃げんな」と一言。そして、物騒な手土産を持って独りコルシュカファミリーの幹部・ビッグママのもとへと向かい、ウラノスへの面会を依頼していた。
バディものとしての真骨頂、敵の強大さなんかに関係なく、自分の守るべき“義”――”魂のイーブンさ”で繋がった友情の誇り――をかけての2人の戦いが始まる予感にゾクゾクするこのラスト、いろいろとカッコよすぎて倒れそう!
<文・小山まゆ子>
最近フリーランスじゃなくなった編集/ライター。マンガ編集者としての最初のお仕事は『東京ガールズブラボー』(岡崎京子/宝島社)。直近のマンガ・アニメ関係のお仕事は劇場アニメ『百日紅』のオフィシャルライター。