肉親や知り合いに引っ越し先を告げずにスタートさせた新生活。2人を見とがめる人はだれもいない安住の地ではあるが、“逃避行”をしている後ろめたさはつきまとう。
籍を入れることも、子どもをもうけることもかなわない。それでも2人でいられさえすればいい……至上の愛のドラマはこれからどこへ向かうのだろうか。
第2話から、物語は2人の過去にさかのぼる。
おっとりした長男坊で悪くいえばヘタレの桂一。一方の晃は小さい頃からしっかり者で、共働きの両親にかわってせっせと兄の世話を焼いていた。ほほえましいほど仲のいい兄妹の幼い日々。
やがて思春期を迎え、お互いを想う気持ちが特別な気持ちだとわかった瞬間。そして、晃が唯一引っ越すことを告げた親友の珠希が今後どのようにストーリーに絡んでくるかも見どころだ。
血のつながった兄妹の恋愛は、少女マンガではよく描かれてきたテーマである。
しかし、はじめから“夫婦”と名乗って暮らす物語は珍しい。
その覚悟のほどが、“禁断の愛”といったセンセーショナルなキーワードを拒むのだ。
単行本第2巻 もうすぐ発売!!
『さらば、佳き日』第2巻
茜田千 KADOKAWA ¥650+税
(2016年3月15日発売)
2016年3月15日にコミックス第2巻発売決定!!
現在予約受付中です。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」