しかし、このおとむらいさんこと音村いづみ、幸薄い系とはいえ美人だしプロ意識も高いんだけど、ミョーに浮世離れしてるっていうかがんばりどころがちょいちょいズレてる。
「はっ!? わたし昔絵描きの役やったことあるし!」とかって故人のイラスト描くかよ、フツー!? ってな感じで、ツッコミどころは満載。
いや~、たぶんね、死に方もいろいろ研究しちゃうようなまじめな人なので、その役をいただいたらメッチャ練習するんだと思うんですよね、彼女。仲居さん役でシーツ張りも練習したらしいしね。
ま、人生無駄ナシ回り道もまた芸のこやしってことで、今ちょっと役立ってるので、テンション上がってるのではないかと思われます。基本素直だしね。
しかし、「ここには本物の人間ドラマがたっっくさん詰まってるから」と産神が言うところのお葬式ですが、この巻ではほっこりえ~話ばっかりです。
そりゃそうだ。マンガはエンタメだし、なんせコレ新連載だし。
とはいえ、葬儀はホントに待ったなしの本番一発のドラマなので、ドロッドロな部分もあり、今後の展開で悲しみより憎しみ、どうしようもないやるせなさや徒労感だけが残るような葬儀なんかも描かれるのでしょうか。
その時は、この「以前、役でやったことある!」ってノリでは無理だぞ、いづみ。人の感情はむきだしだからつくりものだと振りきれちゃうぞ! と心配になってるあたり、もうアタシ、すっかり『おとむらいさん』のとりこに……。
いづみの住むマンション1階の花屋の息子の杉浦くん(いづみを産神にひきあわせた人)、ちょっとお友だち感覚だけど、ちゃんと女優のいづみが好きなマネージャーのハコちゃん、ゲートボールに興ずるチャラ~い喋りのシビアな秋川社長など周りもクセものぞろい。
今後、これらの人間関係もどうなっていくのかも楽しみな注目作。
<文・小山まゆ子>
ロートルの編集/ライター。先月アンケートに答えそびれましたが、魚住かおる『伊集院月丸の残念な霊能稼業』(朝日新聞出版刊)がメチャおもしろい! 前作の『悪霊退散大作戦』からのエロひげ登場編とかマジ泣けるいい話なんだけど、全体的にはガッカリ感漂う脱力加減がオススメポイント。
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