話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『百姓貴族』
『百姓貴族』著者の荒川弘先生から、コメントをいただきました!
『百姓貴族』第4巻
荒川弘 新書館 ¥680+税
(2016年2月25日発売)
『銀の匙 -Silver Spoon-』の荒川弘による、農家エッセイ・コミック第4巻。
北海動の農家の娘として育ち、デビュー前はマンガを描きながら7年間、実家で農業に従事していたという著者のさまざまな「日常」が綴られてゆくのだが、「特殊なお仕事もの」のご多分にもれず、その「日常」が当事者以外には「驚愕の事件」なわけで。本巻も安定のおもしろさ!
ウエディングプランナーもびっくりの農家の珍・結婚式、農家の子どもたちの残念すぎる遠足やちょっと変わった夏の思い出、気になる農閉期の過ごし方、馬や牛が死んだときの大きな声では言えない隣近所の習わし、etc……。
これでもかと繰りだされるハードコアな「農家あるある」ネタは、街育ちには感嘆と爆笑の連続。
「バター騒動の真実」など、農政の問題点にもグサグサ斬りこむなど、農業を美化することなく、ダークな部分もしっかり描いてみせるスタンスは、にわか仕込みのスローライフ実践者にはない、地に足のついたリアリティがある。