「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の新企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、『おじゃる丸』
「おじゃ~……」「おじゃ?」「おじゃぁ……」。
う~ん、このなんとも耳に残る口癖に、心奪われた人は幾人いるだろうか。思えば、この癒しボイスにハマったのは、もう前世紀は1998年のこと。いまや放送回数は1500回を超え、NHKのみならずTV界でも長寿作品となりつつある「おじゃる丸」。
NHK屈指の人気番組として、安定の人気を維持している。その安定さゆえ、それほど巷を騒がす話題になることはなかったが、先日、1枚の静止画とともに、突如として世間を(とくに女子を)ざわつかせることとなる。
な・な・なんと! そこには明らかな美少年のイケメンお公家様がたたずんでいたからだ!!!!
そもそも物語は、月光町に住む小学生・田村カズマは、あるとき1000年前から飛んできた、妖精界の高貴なお子様、坂ノ上おじゃる丸と運命の出会いを果たす。前から弟が欲しかったカズマは、おじゃる丸を家に迎えるのだった。
一方、ひょんなことからエンマ大王のシャクを手にして逃げていたおじゃる丸。現代のプリンのおいしさにドはまりし、すっかり居ついてしまう。そして、わがままおじゃる丸の執事的存在、電書ボタルの電ボや、シャクを取り返しに来た、アカネ、キスケ、アオベエの子鬼トリオが集まり、カズマのまわりはすっかりにぎやかなことに。
そんなアニメが放送されて18年。
第19シーズンを迎えて、波乱を予想される展開が待っていたなんて!
今年4月に放送された第19シーズン第1話、月光町を歩く雅な美少年は、思い出せない何かを探していた。月光町のみんなは、その少年の美しさにとにかく驚き、ひとめぼれするばかり。ただ、彼の発言をよくきくと……「…おじゃる」。
なんとそれは17歳に成長した(なぜかは不明だ!)おじゃる丸そのものだった。ずばりタイトルは「おじゃる17(セブンティーン)」。
ぶっ飛んでますよね~。その超展開ぶりに、おじゃる丸同様「まったり」見てきた視聴者はびっくりしまくりだ。ちなみに17歳のおじゃる丸を演じたのは、今をときめく声優・小野賢章(『ハリー・ポッター』シリーズ、ハリー・ポッター役や『黒子のバスケ』黒子テツヤ役など)。彼の甘くてはかない声にウットリした女子も多いのでは?
なにはともあれ、知りたい答えが見つかり、ふわっと消えてゆくおじゃる丸セブンティーン。次話では、ほぼなかったかのように、いつものおじゃる丸が登場する。
さて、「ちょっと“おじゃロス”しちゃったわ……(ため息)」というそこのアナタに朗報です。
なんと5月3日(火・祝)~5日(木・祝)にNHK放送センターで開催されるイベント「NHK渋谷DEどーも2016」の「アニメ館」ひろばで、おじゃる17の切り出しパネルやおじゃる丸の人形が展示され、さらに第1話の映像も見られるというのだ! ぜひGWは雅なお方に会いにいこう……!
ちなみに、ぶっ飛び具合は第19シーズンの新エンディングでも発揮! 宇宙人・星野を中心に、川上、ケン、カンブツ、そして館長の5名がダンスユニットを結成! エンディング曲の「見果てぬ夢」を、キレッキレのダンスで盛りあげるのだ。明らかにいつものおじゃる丸とは一味違う第19シーズン。なにが変化するか、まずは見守ろうではないか!
『おじゃる丸』のアニメを観たあとは……
何を隠そう、「このマンガがすごい!WEB」は、マンガの情報サイト! そんなわけで、アニメ『おじゃる丸』をさらに楽しみたいアナタに、読んでほしいマンガを紹介しちゃいますよっ。
『おじゃる丸』江尻立真
『おじゃる丸』第1巻
江尻立真 集英社 ¥400+税
(2014年7月4日発売)
さすがは大人気ご長寿アニメ。コミカライズもばっちりだ。
週刊少年ジャンプに連載されていた『P2! - let's Play Pingpong!』の作者、江尻立真が最強ジャンプで連載。10分というアニメならではのテンポのよさを踏襲しつつ、マンガのよさを活かしたより丁寧なストーリー展開が楽しめる。
うん、やっぱりマンガになっても、かわいいんですよね。癒されます。じっくりとおじゃる丸の自己中なかわいさを堪能しよう。
『なんて素敵にジャパネスク』氷室冴子、山内直実
『白泉社文庫 なんて素敵にジャパネスク』第1巻
(作)氷室冴子 (画)山内直実 白泉社 ¥581+税
(1997年9月12日発売)
今回、「おじゃる17」で美しい公家少年とともに行動しているのが、オカメ姫。おじゃる丸の許婚で、彼女もまた“ヘイアンチョウ”から月光町へやってきたひとりだ。おじゃる丸のことが大好きでけなげなところもあるが、ときにその猛アタックがおじゃる丸を困らせることもある。平安時代の女性といえば、雅でおしとやかなイメージがあるが……じつはそうでもない!?
ということで紹介するのが『なんて素敵にジャパネスク』。
じゃじゃ馬で元気いっぱいの主人公・瑠璃姫は、浮気性の父親の影響で結婚に嫌悪し、縁談を断りつづけ“行き遅れ”とまでいわれるが、じつは初恋の相手・吉野君(よしののきみ)への一途な想いを抱いていたり、幼なじみの高彬(たかあきら)から想いを告げられドキドキしたり……。どんな時代でも女の子は女の子。恋する乙女はいつだって強いのだ!
平安時代の女性はもちろん、男性や当時の文化なども知ることができる本作。『ざ・ちぇんじ』でもコンビを組んだ著者2人が描く平安ロマンの魅力を知り、おじゃる丸たちのふるさと“ヘイアンチョウ”へ思いをはせてみるのはいかがだろうか?
<文・東京03製作 沼田理>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。