「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の新企画がスタート!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、『とんかつDJアゲ太郎』
ジャンプ+で連載が始まるやいなや、その強引ともいえる斬新な設定と絶妙なギャグセンス、そして「友情・努力・勝利」の三拍子が揃ったピュアな心揺さぶる熱血ストーリーで、各方面で話題を巻き起こした『とんかつDJアゲ太郎』。「メンズノンノ」誌での出張連載やDJの世界大会とコラボなど、マンガの枠を飛び出して活躍する異色マンガが、ついにアニメとしてテレビ進出を果たす。
監督は「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」「ギャグマンガ日和」の大地丙太郎。
独特のテンポ、セリフ回しを武器とする大地監督が、『とんかつDJアゲ太郎』をどう調理するのかたいへん気になるところだ。
アニメは「昭和元禄落語心中」「ヘタリア」で定評のあるスタジオディーンが制作する。
そしてキャスト陣にも注目! 主人公の勝又揚太郎には、『弱虫ペダル』のオタクライマー小野田坂道を演じる、山下大輝。ティーンエイジャーさながらのハイトーンボイスで人気を集め、同4月は『僕のヒーローアカデミア』の主役も務める若手実力派の彼が、どう揚太郎を演じるのか……!?
さらに揚太郎の師匠であるDJオイリーには、『クレヨンしんちゃん』の“野原ひろし”などでおなじみの藤原啓治が演じる。コミカルな役から、シリアスな役まで幅広く演じるベテランが、貫禄の師匠を魅せてくれるはず! そのほか、津田健次郎、茶風林など、見事にキャラがハマった文句ナシの人選となっている。個性あふれるキャスト陣が、どのように視聴者をアゲてくれるのだろうか!?
また、映像化のキモとなる音楽は、今をときめく音楽レーベル、カクバリズム所属のDJ/プロデューサーユニット、MU-STARS/MU-STARS GROUPの藤原大輔が担当。これは「ユーモラス、ファンクネス、そして愛猫がかわいい。ぼくらのへっぽこバイヴスを共有してくれるのは、この人しかいない!」という、作者の小山ゆうじろうのラブコールが実現したもので、まさにこれ以上はない適役。
例の「油裂音[注1]」をはじめ、これまで脳内再生していた様々なサウンドがどのように具現化されるのか……楽しみすぎる!
大地監督も「すごいよ!!マサルさん」の際は、オープニングにビジュアル系バンド・PENICILLINの楽曲を用い、アニメにバンドの演奏シーンをさりげに盛り込むなど、斬新な手法を披露していた人。今回もショートアニメ枠ならではの、ゴキゲンな映像と音楽のコラボに期待したい。
ちなみに4月16日にはアニメ化記念DJイベント、その名も「LARD CITY」の開催が決定。関連イベントやグッズも続々予定とのことで、まだまだアゲアゲの快進撃が続きそうだ。
『とんかつDJアゲ太郎』のアニメを観たあとは……
何を隠そう、「このマンガがすごい!WEB」は、マンガの情報サイト! そんなわけで、アニメ『とんかつDJアゲ太郎』を心待ちにしているアナタに、読んでほしいマンガを紹介しちゃいますよっ。
『とんかつDJアゲ太郎』イーピャオ(案) 小山ゆうじろう(画)
『とんかつDJアゲ太郎』第1巻
イーピャオ(案) 小山ゆうじろう(画) 集英社 \580+税
(2015年2月4日発売)
渋谷の老舗とんかつ屋の息子・アゲ太郎が、偶然立ちよったクラブのDJプレイととんかつの共通点を見だし、一人前のDJととんかつ屋を目指す青春コメディじつはジャンプの王道をゆく少年熱血ストーリーでありながら、少年少女のためのクラブカルチャー指南書となっているのもニクイ。現在もジャンプ+で連載中で、コミックスは現在単行本5巻まで発売。4月4日には最新6巻も発売予定だ。毎回、実在するとんかつ屋のとんかつを撮りおろした巻頭グラビアもお楽しみ!
『とんかつDJアゲ太郎』の「ロングレビュー」での紹介はコチラから!
『日々ロック』
『日々ロック』第1巻
榎屋克優 集英社 \514+税
(2010年10月19日発売)
こちらは野村周平&二階堂ふみ主演で映画化されたのも記憶に新しい。勉強もスポーツもダメのサエない高校生だった日々沼拓朗が友達に誘われてバンドを組み、ロックに目覚め、ロックスターを夢見て活動する姿を描く。クラブとライブハウスという場は違えど、両者の音楽へのピュアな愛や夢を追い続ける情熱は、おおいに通じるものアリ。誌面から音楽が聴こえてくる、ドラマチックで心揺さぶられる、音楽を通した少年の成長物語。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69
- [注1]「油裂音」 昨年末、千葉・幕張メッセにて開催された「COUNTDOWN JAPAN 15/16」で行われたとんかつDJアゲ太郎と藤原大輔(MU-STARS/MU-STARS GROUP)のステージで、演出として、「とんかつを揚げる音=油裂音」が流れて、話題に。そのステージレポートはコチラから。