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『素敵な彼氏』(河原和音)ロングレビュー! 『高校デビュー』『青空エール』著者の最新作はドキドキの恋人トリセツ!?

2016/06/29


しかし、この直也のキャラがじつに魅力的なのである。
偶然にコンビニバイトの同僚となった2人は親しく話すようになるのだが……ののかのカレシ探しを応援すると言ってくれるだけならともかく、結局大晦日までにカレシができなかったののかをカウントダウンに誘ってくれ、あろうことかふいうちのキスまで! キスの理由は「なんとなく」……で、その前後もまったく表情を変えない直也。
ののかをからかっているわけでもなく、ただその瞬間の自分に率直という人物なのだろう。

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あ、恋ができるかどうかって、そういうことなんだ。
「この人のこと好きかな?」なんて、頭で考える前に心は動いていて、それに自分が率直に反応できるかどうかがキモなのだと気づかされる。

バレンタインにチョコをあげたことがないののかに、「くれよ」とサラリと言ってのける直也。現在はフリー、けっして遊び人ではなさそうだけど女子慣れしてるイケメンにこんなことを言われたら、恋愛初心者は混乱してしまう!

バレンタインにチョコをあげたことがないののかに、「くれよ」とサラリと言ってのける直也。現在はフリー、けっして遊び人ではなさそうだけど女子慣れしてるイケメンにこんなことを言われたら、恋愛初心者は混乱してしまう!

ののかは引っこみじあんなタイプでもないのに女子とつるんでいるのに慣れすぎていて、共学校通いのくせに男子と接することが少ない。
「好みの人いないかな?」と“恋の対象になりそうな人”を探してキョロキョロしているうちは、たしかにカレシはできないかも!?

見た目は女の子らしくてほわっとしているけれど、意外やバイト先ではシャキシャキ働く、ののかのキャラクターも新鮮。
王道少女マンガを描き続けながらステレオタイプに陥らないキャラ造型にも、著者の真摯な姿勢を感じるのだ。

義理チョコのお返しは、ホワイトデーの映画デート。なんだかんだと直也はののかをかまってくれる。死んでもお世辞を言わないタイプの人のこのセリフ、究極の殺し文句なのでは!?

義理チョコのお返しは、ホワイトデーの映画デート。なんだかんだと直也はののかをかまってくれる。死んでもお世辞を言わないタイプの人のこのセリフ、究極の殺し文句なのでは!?

恋をしたことがないヒロインが、これからどんなふうに“恋”をとらえていくのか。
恋してる喜び、悩み、そしてたくさんのうずまく疑問に出会う道筋が楽しみでしかたない。

ののかを通して“恋”の真理に迫るような作品になっていくのではないだろうか。

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<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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