『青空エール』第16巻
河原和音 集英社 \400+税
(2014年8月25日発売)
甲子園出場を目指す大介、そして吹奏楽部の一員として彼を甲子園のスタンドから応援したいと願うつばさ。いよいよ高校3年の夏がやって来た!
高校入学時から2人の歩みを見守ってきた読者としては、これまでの苦難の道を思い起こさずにいられない。
名門吹奏楽部に初心者ながら入部、しかも花形のトランペットというパートを選んだつばさが、ときにはあからさまなお荷物扱いを受けながら、どれだけたくさんの涙を流して練習についてきたか。また、大介はといえば1年生の頃から実力を認められるも、ケガに泣かされた時期も長かった。
それぞれ厳しい部活に全力を注ぎ、想いあいながらも恋はひとまず封印し、励まし合ってきた2人の“最後の夏”が始まった。
主将、捕手、4番打者として存分に力を発揮する大介率いる白翔高校野球部は南北海道大会を勝ち進み、一歩一歩甲子園に近づいていく。そして、スタンドから彼を見守り、いまや堂々とトランペットを吹くつばさの力強いまなざしにも目頭が熱くなる。
大介は憧れの聖地を踏むことができるのか。そして、つばさも、吹奏楽部のレギュラーメンバーとして全国コンクールに臨めるかどうかの正念場を迎えている。
ついに佳境に入った熱血×青春×恋愛ストーリー。「強くなりたい」という想いとまっすぐに向き合い続けてきた2人の努力が報われますように!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」